――小4で一日4冊!
そうなんです。でも、自分にとっては読書もほかの遊びと同じ感覚なので、本当に楽しんでいました。
僕はたまたま、図書室でハマる本と出合うことができました。しかし、みんながみんなそんな「偶然の出合い」があるわけではないですよね。ですから、僕は「できるだけ本が身近にある」環境をつくることをおすすめしているのです。本に触れるきっかけがたくさんあれば、ハマる一冊と出合うチャンスも増えるわけですから。
家族とのお出かけの帰りは「本屋さん」が定番でした
――笹沼少年の読書熱は、どのように盛り上がったのですか?
僕には、読書の「味方」がたくさんいました。本好きの友達がいたのです。もともと仲がよかったのですが、僕が本を好きになってからは、その友達との間に「あのシリーズの○巻読んだ?」という具合に「読書」の話題も増えました。みんなで、誰がたくさん読むか、早く読むか。競い合うように本を読みましたね。
また、両親もさりげなく、僕の読書をサポートしてくれたのです。父はよく、学校の図書室にはない本を地元の図書館で予約して、仕事の帰りに借りて帰ってきてくれました。母は、自分が好きな小説の話をよくしてくれたんです。ですから、母のすすめる本もたくさん読みました。
家族でどこかに出かけたときは、帰りにだいたい本屋さんに寄るんです。「読みたい本を一冊選びなさい」と僕に言ってから、両親もそれぞれ自分の本を物色するために店内に散っていく(笑)。当時はもう当たり前のように感じていましたが、今は感謝しています。とてもいい思い出ですね。
読書をするようになってから、僕には明らかに「いい変化」が訪れました。それがどんなことなのか、次回でお話ししたいと思います。
(取材・文/三宅智佳)
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