――小4で一日4冊!

 そうなんです。でも、自分にとっては読書もほかの遊びと同じ感覚なので、本当に楽しんでいました。

 僕はたまたま、図書室でハマる本と出合うことができました。しかし、みんながみんなそんな「偶然の出合い」があるわけではないですよね。ですから、僕は「できるだけ本が身近にある」環境をつくることをおすすめしているのです。本に触れるきっかけがたくさんあれば、ハマる一冊と出合うチャンスも増えるわけですから。

家族とのお出かけの帰りは「本屋さん」が定番でした

――笹沼少年の読書熱は、どのように盛り上がったのですか?

 僕には、読書の「味方」がたくさんいました。本好きの友達がいたのです。もともと仲がよかったのですが、僕が本を好きになってからは、その友達との間に「あのシリーズの○巻読んだ?」という具合に「読書」の話題も増えました。みんなで、誰がたくさん読むか、早く読むか。競い合うように本を読みましたね。

 また、両親もさりげなく、僕の読書をサポートしてくれたのです。父はよく、学校の図書室にはない本を地元の図書館で予約して、仕事の帰りに借りて帰ってきてくれました。母は、自分が好きな小説の話をよくしてくれたんです。ですから、母のすすめる本もたくさん読みました。

 家族でどこかに出かけたときは、帰りにだいたい本屋さんに寄るんです。「読みたい本を一冊選びなさい」と僕に言ってから、両親もそれぞれ自分の本を物色するために店内に散っていく(笑)。当時はもう当たり前のように感じていましたが、今は感謝しています。とてもいい思い出ですね。

 読書をするようになってから、僕には明らかに「いい変化」が訪れました。それがどんなことなのか、次回でお話ししたいと思います。

(取材・文/三宅智佳)

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笹沼颯太
笹沼颯太

Yondemy(ヨンデミー)代表取締役。筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。東京大学経済学部経営学科に進み、3年生で中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「ヨンデミー」を設立。起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る24歳。著書に『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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