「都会の真ん中でも、小さい子にとっては、自然はいくらでもある」と生命誌研究者の中村桂子さんは言います。登山地図GPSアプリ「YAMAP」の開発者・春山慶彦さんと中村さんが「都会の子どもと自然体験」について語ります。春山さんの著書『こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方』(集英社)からお届けします。

MENU 都会のこどもと自然体験 なぜ少子化対策でこどもは増えないのか

都会のこどもと自然体験

春山慶彦(以下、春山) 私は20歳の頃から登山をするようになりました。山に行くと自分のいのちが外に開かれていく感じがするんです。目に入る景色、森や花のような周りの自然が全部自分とつながって、皮膚一枚を隔てて一体化する感覚になります。広大な自然とのつながりの中で、今、この世界を生きている自分に気づかせてくれる。この感覚は山に登らないとなかなかわからないかもしれません。

 登山はYAMAPで働く社員たちにとっても欠かせないものになっています。私自身は福岡を拠点に活動していますが、YAMAPの拠点は福岡と東京にあります。100人ほどいる社員はそれぞれ自分の好きなところに住みながら、リモートで働いています。月に何回かはリアルで会って、みんなで時々登山に行くんです。ちなみに、先生は登山をされますか?

中村桂子(以下、中村) 今はもうしませんが、大学院生の頃は、お友だちに誘われて山に行きました。仲間たちと三、四日かけて。尾瀬に行ったり、南アルプス縦走みたいなこともしたりして、登りはじめは「どうしてこんなところ来ちゃったのかな」と、もう泣きそうになっていました。

春山 だいたいみなさんそうおっしゃいますね(笑)。

中村 仲間はみんな先に行ってしまうし、帰るに帰れないから、ついていくしかない(笑)。

春山 そうですね、最初の二、三時間は身体の中にいわば灰汁(あく)がたまっている感じなので、すごくキツいんですよ。それを越えると、だんだん楽しくなってきます。

中村 山に登ると、こんなにお星様ってあるのというくらい、たくさんのお星様が見えていいものですね。

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春山 慶彦
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