また建設費が予定より大幅に膨れ上がっていることも、盛り上がらない理由です。会場建設費は当初の1250億円から2350億円に膨らみ、運営費も計画段階の809億円から1160億円になる見通しです。万博の費用には国民と大阪府民・市民の税金も使われるため、増額への不満につながっています。
加えて、会場を囲む1周2キロの木製リング建設に344億円、若手建築家などがデザインしたトイレや休憩所に最高2億円がかかるとされ、その高額さにも「無駄遣いでは?」との声が出ています。
ほかには会場となる人工島の夢洲へ行くアクセスルートが少なくて混雑しそうなこと、「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博テーマが今ひとつわかりにくく、イメージしづらいものであること、万博キャラクターにかわいさがないことも、理由として挙げられるでしょう。
Q.どうして、そうなってしまったの?
いちばんは万博をやる意味が薄れたことです。ネットを通じて海外のモノや情報が簡単に手に入る時代となり、博覧会自体の魅力が減っています。半年限りで壊されるイベントは、時代に合わなくなってきています。
また万博誘致の背景には、活用の道がなかった埋め立て地の夢洲をどうするかがありました。
そこで最初に出てきた話がカジノを含む統合型リゾート(IR)の建設です。IRのために道路建設や地下鉄建設を進めたくても、世間にはカジノへの抵抗感がありました。そのため万博誘致を夢洲開発の大義名分にしようと考えられたのです。まず夢洲の活用、次にIRの計画があっての万博だったわけです。
また東京オリンピックが決まっていたことで、「東京オリンピックの次は大阪万博だ!」と、高度成長時代の昭和を蘇らせたい安易な考えもあったようです。自治体トップを占める「維新の会」のイメージ向上など、政治的思惑も誘致に拍車をかけたと考えられます。すなわち「まず万博ありき」で始まったわけではないことが、盛り上がり不足につながっているのではないでしょうか。
(構成・文/八木沢由香)
朝日新聞出版