それから、親御さんが大事なことを忘れないように、娘さんに最終チェックをお願いしてはいかがでしょう? 親御さんと同じ土俵に立たせてもらえていると安心でき、うれしさも感じられると思います。

 ひょっとして、お母さん自身もそういう「安心感」をもらい損ねた経験がありませんか?ご自身が頑張ってきた分、娘さんを心配しすぎているような気がします。

相談者 「頑張りすぎないで」とは言われていたかもしれません。

小川さん それって本当は素直に「頑張ってるね」と言ってほしかったのではありませんか。完璧主義度がそれなりに高く、身体感覚を使うので「言葉になってないもの」を感じとってしまうんですよね。それは娘さんも同じです。

 どういう伝えられ方だと「安心感」が得られるかもタイプによって違います。お母さんの場合は、たとえば満面の「笑顔」(=視覚)をもらえると安心できると思います。娘さんは「聴覚」タイプなので、言葉でほめると安心できると思います。ただ、娘さんはいろいろなことができているので、大人側はそれに慣れて当たり前になってしまって、「そんなに頑張らなくてもいいよ」が先に立ち、「できてるね」の声かけを忘れている可能性があります。娘さんにしたら「できてるね」の確認がないから、「大丈夫だよ」って言われると「大丈夫じゃなかったんじゃないか?」と思ってしまう。頭がいいから。もっとシンプルに、できていることをほめる!でいいと思います。

相談者 娘が疲れているとき、外で頑張る分、家でずっとベタベタくっついてきたりしていたんですが、今のお話で「安心感」のチャージが足りなくなっている時なんだなと気付きました。

もっと「親バカ」全開でいい

小川さん 大人は子どもの頑張りに慣れてしまうところがあります。子ども側からすれば、前はほめられたのに6、7歳になったら「できて当然」という対応になって、急に不安になる。もっと頑張らなくてはいけないのかなと思うこともあるわけです。

 子どもは、親が自分のことをどれだけ好きで、どれだけ見てくれていて、どれだけ安心しているかを日々欲しています。親御さんは子どもの年齢に関係なく、もっと素直に、お子さんの報告に喜んだりウキウキしたりしていい。「親バカ全開」でいいんです。

 娘さんは、1、2年経ったら今度は「そんな簡単なことでほめないで」と怒ってくるかもしれません。そのときは反抗期や思春期ととらえずに、本人の中で自信が高まって基準値が上がっているのだと理解すれば、お子さんの成長に合わせて対応していきやすくなると思います。

(構成/布施奈央子)

※小川さんのYouTubeチャンネル「小川大介の『見守る子育て研究所®』」や、AERA with KidsのYouTubeチャンネルで、小川さんの話を動画で配信しています。

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