都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんのAERA with Kids+連載「中学受験、その先に」。今回は、YouTube「数学・英語のトリセツ!」が登録者22万人と人気で、河合塾などで数学講師を務める迫田昂輝さんと対談。「偏差値」のとらえ方や、自分の考えを言語化する大切さについて語っていただきました。
【マンガ】中学受験で「偏差値の高い学校」への思いを捨てきれなかった母が、「路線変更」を決断して“わかった”こととは6年間、学力のレベルを維持できるとは限らない
――中学受験をするうえで“偏差値”は避けては通れませんが、親が「より高い偏差値を」と、こだわってしまうこともあると思います。それはなぜなのでしょう。
迫田昂輝(以下、迫田) 保護者の方が高偏差値帯にこだわる理由は大きく3つあると思います。一つ目は「見栄」。二つ目は、子どもが塾講師たちの「君ならもっと上に行ける」という言葉を鵜呑(うの)みにし、親もその気になってしまうパターン。極端な例ではありますが、そうした言葉を掛けられると「偏差値50だけれど“御三家”に行きたい」と考えるようになる子どもは一定数いて、親も可能な限り応援するようになるんですね。三つ目は、「入学した中学のレベルのまま、大学受験に突入する」と思い込んでいるケース。そう考えている保護者は非常に多いと感じます。
茂山起龍(以下、茂山) 必ずしもそうとは限らないんですけれどね。
迫田 確かに、上位の大学を目指す仲間たちに囲まれていたほうが、勉強もしやすいですし、目標を定めやすい、とは思います。ただ、6年間もあるので、学力レベルが維持できるかどうかは未知数です。
また、偏差値が高い学校をやみくもに目指すことがすべてではない、とも思います。というのは、受験難関校に通う生徒を教えていても、「思考力が伴っていないな」と感じることは頻繁にありますし、「この生徒は、もう一つ下の偏差値帯の中学に進み、そこでトップを走り続けたほうが成績が伸びたのではないか」と思うこともあります。中学受験では思うようなレベルの学校に入れなかったとしても、その後成績がぐんと伸び、難関大に合格したという子もたくさん見てきています。
次のページへ中学受験をすることが“絶対”ではない?