中学受験に親のサポートや伴走は必須といわれます。都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんのAERA with Kids+連載「中学受験、その先に」。今回は、中学受験塾「スタジオキャンパス」代表の矢野耕平さんと対談。父親、母親の中学受験における役割について語ってもらいました。

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最近の保護者の傾向は?

――近年、父親が中学受験の勉強に伴走するケースが増えています。同時に、子どもの受験をビジネス的に管理しようとするなど、ネガティブな面が取り沙汰されることもありますが、先生方はどのようにご覧になっていますか。

茂山起龍(以下、茂山) 入試の前に併願パターンを組んだり、細かく資料をまとめてくださったりするお父さんも多いので、僕は結構、好意的に見ています。子どもに対し厳しすぎたり、暴走してしまったりするタイプのお父さんは、あまり目にすることがないですね。僕の塾の場合は、楽観的にいてくれる方が多いな、と感じています。積極的に学校を見に行かれる方も多いので、いい傾向なのではないかな、と思っています。

矢野耕平(以下、矢野) 父親と母親の根本的な違いは何か、と考えると、出産という大変な経験をしたか否か、その違いはじつは大きいのではないか、と個人的には考えます。出産直後に、子どもの面倒を見るのはどうしてもお母さんが中心というケースは多いでしょう。ですから、「自分がいなければ死んでしまう」という気持ちを抱き続けているという側面はあるかもしれないですね。「子どもは弱いもの」「脆いもの」というような価値観が特に母親のほうに強く刷り込まれていることが多いように感じます。

 これを中学受験に対するスタンスに置き換えて考えてみると、父親は子どもを「勝者」にしたいと思う傾向にあり、対して、母親は子どもを「傷つけてはいけない、負け組にしてはいけない」と考える。一概にそうと決めつけられないものですが、そうした感覚の違いがあるような気が僕はしています。

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茂山起龍
中学受験塾「應修会」塾長 茂山起龍

しげやま・きりゅう/1986年生まれ。中学受験を経験し、大学附属校に入学。大学在学中から個別指導塾、大手進学塾などで中学受験指導に携わる。会社経営の傍ら、2011年、東京・西葛西に中学受験指導塾「應修会」を開校。自らも教壇に立って指導を行う。中学2年、小学6年の男子の父。X(旧Twitter)での中学受験についての発信も人気で、フォロワーは1万人を超える。X: @kiryushigeyama

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