茂山 偏差値はあくまで入り口のものでしかないですからね。その後一人ひとりがどうなっていくかを、すべて予測するのは難しいですが、それでも本人の性格や学習姿勢、学力の推移、学校や家での様子を見て「その後どのように過ごすことになりそうか」をある程度考えて手を打つことはできると思っています。

 まず入学してみないとすべてはわかりませんが、その後の6年間をどう過ごすのか、子どもと学校のマッチ具合をもっと考えていかないといけないと思っています。

迫田 中学受験をして中高一貫校に通うことだけが“絶対”なわけではないな、とも感じます。成長の速度は子どもによって異なります。中学受験のときには思うように成績が伸びなかったとしても、中学や高校で伸びる子もいます。

 中学受験で思うような結果が出なくて自信をなくし、勉強に対してネガティブなイメージをもってしまう子も一定数いるので、必ずしも中学受験で中高一貫校に通うことが最も良い選択とは限らないと思います。

自分の考えを「言葉で伝える」重要性

――中学受験の先にあるのが、大学受験です。近年は「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」による入学者数が約半数を占めると言われています。先生が指導していて総合型選抜を勝ち抜いている生徒には、どのような特徴がありますか。

迫田 総合型選抜で受かっている生徒たちの言動を見聞きすると、「大人だな」と感じることがあります。自分の考えを言語化し、相手に伝えることができる。「なぜ、そう思う?」と尋ねると、理由を的確に述べることができる。これは、大人がビジネスを進めていくうえで必要なことでもありますね。

茂山 僕の塾の卒業生のなかにも、総合型選抜で大学に進んだ生徒がいますが、彼らと久しぶりに話すとやはり「大人になったな」と感じます。「いつからそんなにわかりやすく説明できるようになったのだろう」と。

 自分なりの考えを口にする機会は、中高の授業のなかでも多くなっていると感じます。それは教科を問わず、です。先日、ある私立中学の美術の授業を見学すると、「どういう思いで絵を描いたのか」を言葉で説明する場面に出くわしました。科目とすれば「美術」かもしれませんが、究極の「探究学習」でもあるな、と。なかには説明が苦手な生徒もいますが、そうした環境に身をおくことで「自分を表現すること」が自然とできるようになるのかもしれません。

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