都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんは、受験後も教え子たちと交流を続けるなかで、中学受験生たちの“その後”を見つめ続けています。AERA with Kids+の連載「中学受験、その先に」。今回は、2025年・中学入試の振り返りのほか、中高一貫校に子どもを通わせた保護者たちの感想などから、中学受験の意義を考えます。

MENU 2025年の中学入試、国語は“長文化”の傾向が緩和された印象 人気の学校は、情報発信に長けている 保護者は大学入試の結果より「子どもがいかに充実して過ごせたか」

2025年の中学入試、国語は“長文化”の傾向が緩和された印象

――2025年の中学受験シーズンが終わりました。各教科の出題傾向に、何か変化は見られましたか。

 すべての試験問題に目を通しているわけではありませんが、国語で出題される物語文や説明文において、一部の学校の試験問題で見られていた“長文化”の傾向が緩和された印象を受けました。問題自体が簡単になったわけではありませんが、小学生がしっかりと読み切れる文章をもとに、難易度に少しずつ差をつけながら作問がされている。文章を長くすることで、読みきれない、解き終わらない生徒をふるい落とそうとするのではなく、小学生の語彙レベルで読み込み、対応できる範囲で作問されていて、漢字を書かせる問題も、努力を続けていればどこかで触れてきたものが出題されることが多く、個人的にはいい傾向だなと感じました。

 算数も、知らないと解けないような難問を出すよりは、計算自体はややこしくて大変でも、しっかりとした基礎力があれば解ける問題を出す学校が多かったですね。いかに早く正確に解けるかを測るような問題が合否を分けるわけで、これもいい傾向だと感じました。「漢字」も「計算」も努力を表すもの。真摯に取り組んできたことが評価される問題が多く出題されていたように感じます。

人気の学校は、情報発信に長けている

――志願者が増加している学校に何か共通点はありますか。

 近年、人気を集めている学校に共通して言えるのは「一次情報を出すのがうまい」ということ。公式LINEやインスタグラムを通して、魅力を自ら発信する力に長けている学校が人気を集めていますね。塾を介して、「こういう学校です」とアピールするのではなく、受験者やその保護者にダイレクトにアプローチしている。かつてのように「塾に売り込んで、塾から学校の宣伝してもらう」というスタイルは、僕はもう古いと思っていて。それよりも写真や映像を通し目にした生徒たちの姿や表情で、保護者の方々は判断するようになっているように感じます。

次のページへ中学受験を経験した保護者からの声
著者 開く閉じる
茂山起龍
中学受験塾「應修会」塾長 茂山起龍

しげやま・きりゅう/1986年生まれ。中学受験を経験し、大学附属校に入学。大学在学中から個別指導塾、大手進学塾などで中学受験指導に携わる。会社経営の傍ら、2011年、東京・西葛西に中学受験指導塾「應修会」を開校。自らも教壇に立って指導を行う。中学2年、小学6年の男子の父。X(旧Twitter)での中学受験についての発信も人気で、フォロワーは1万人を超える。X: @kiryushigeyama

1 2 3