オヤカク、オヤオリという言葉を聞いたことはありますか。就活用語で、オヤカク=親による内定確認、オヤオリ=親向けの説明会のことを指します。就活が学生優位の売り手市場となるなか、内定辞退を未然に防ぐため企業側が親を“巻き込む”ようになりました。背景には学生が親をいちばんの相談相手とする「お友だち親子」の存在が見え隠れします。令和の就活を通して見えてくる今どきの親子の関係やその課題とは。

MENU 内定後に親に手紙…企業側から親を“巻き込む”今どきの就活 親を頼りにする学生増 就職の情報取得先は過半数が「親」 Z世代はお友だち親子が増加 近い関係でもOK? 青年期の発達課題は親からの自立 過度な先回り育児が「決断できない子」につながる?

内定後に親に手紙…企業側から親を“巻き込む”今どきの就活

 1990年代から2000年代前半にかけ、厳しい雇用環境が続いた就職氷河期。その時代を生き抜いた世代の子世代、つまりZ世代が就活期を迎えています。状況は様変わりし、市場は学生優位の売り手市場へ。そして最近、話題となっているのが「オヤカク」「オヤオリ」です。企業が就活生の親に内定承諾の意向を確認することを「オヤカク」、企業やキャリア支援センターが親向けのオリエンテーションを行うことを「オヤオリ」と言い、保護者参加型の就活が増加傾向にあります。

 今春、国立大から都内の大手企業に就職した社会人1年目の男性、Aさん。この企業とは別に東海地方の地元トップ企業からも内定をもらっていました。内定後、地元企業から両親宛てに内定を確認する手紙が届きました。いわゆるオヤカクです。Aさんの母親は言います。

「『ご子息をぜひ我が社に!』と手紙で懇願されました。結局そこは第1志望ではなかったのでお断りしましたが、人手不足なのか必死さが伝わりました」

 このように内定辞退や早期退職を食い止めることを目的に、親を巻き込んでの人材確保対策=オヤカク・オヤオリを積極的に展開する企業もあります。ひと昔前の就活なら「親の出番はなし」というのが当たり前でしたが、なぜ企業は親を重視するようになったのでしょうか。

親を頼りにする学生増 就職の情報取得先は過半数が「親」

 就活事情に詳しいリクルートマネジメントソリューションズ主任研究員、飯塚彩さんは、「学生が親の助言や情報を頼りにする背景がある」と指摘します。こうした傾向は各種調査からも明らかになっています。

著者 開く閉じる
大楽眞衣子
大楽眞衣子

ライター。全国記者を経てフリーランスに。地方で男子3人を育てながら培った保護者目線で、子育て、教育、女性の生き方をテーマに『AERA』など複数の媒体で執筆。共著に『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド 親と子のギャップをうめる』(笠間書院、宮本さおり編著)がある。静岡県在住。

NEXT親への相談が増えた理由は?
1 2 3 4