実は、うちのばあちゃんがそれなんです。お母さんは、ばあちゃんを旅行に連れて行ったら全部文句をつけられるから、昔からそれが嫌やった。だから、自分がされて嫌やったことはやらんとこう、文句を言うんじゃなくて楽しもうというのもあると思う。

 もっと言うと、ばあちゃんは“伝説のアル中”だったじいちゃんと結婚して、本当に苦労をした人なんですね。ばあちゃんが我慢したり苦労したりする姿を見て、母は自分を責めたそうです。

 子どもって、家族のためにお母さんが犠牲になってたら「私がお母さんを不幸にしてる」って思っちゃうんですよね。「自分が生まれて来んかったらよかった」と。お母さんにはとにかく幸せでいてほしいもんやと思う。それが、「自分が生まれてきてよかった」ということの証明やから。

 だから、うちの母が素晴らしく仕上がった背景には、岸田家のそんな歴史的事情もあるんです。

※前編<岸田奈美が語る「絶対に否定しない」母の子育て 「私にもダウン症の弟にも『あんたが一番大事やで』の 二枚舌外交」 >から続く

左から奈美さん、ひろ実さん、良太さん(写真/川畑樹利佳)
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

岸田 奈美

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
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大道絵里子
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