感心するほど「受け取り上手」な母

――ひろ実さんは手動で運転できる車の免許を取り、日本各地を講演で回ったり、著書を執筆したりと、アクティブに人生を楽しんでいます。そんなお母さんの一番好きなところは?

 圧倒的に「受け取り上手」なところですね。

 私が東京のわらび餅とか、 大阪・十三のみたらし団子とか、ちょっとしたお土産を持っていくと、「これテレビで見たやつ~!」といちいち本気で感動するんです。

 あと「助けられ上手」でもある。新幹線に乗るとき、車いすって介助が必要なんですけど、新神戸駅におかんが降り立ったら「アイドルが来た!」みたいに駅員さんが取り合いしてるらしいです(笑)。

 母はちょっとしたことでも「ありがとうございます~」とか、「新神戸駅ってめっちゃきれいですね~」とか言うんですよ。生粋のカウンセラー体質でもあるから、いろんな人からいろんな相談をされたりもする。そういうところも好きですね。

 世の中には「受け取り上手」と「送り上手」がいると思うんですけど、私とか父は完全に「送り上手」。人にプレゼントして驚かせたり喜ばせたりするのが大好きで、だから家族を旅行に連れて行きたいし、そのために自分のお金が減ることなんてどうでもいい。「喜ばせてる私、すごいっしょ、イケてるでしょ」って、それが楽しいんです。

 母をカウンターのお寿司に連れて行ったとき、車いすだとカウンターの位置が高すぎて、私は内心「うわ、どうしよう」と思っていたんですけど、母は「砂かぶり席やから大丈夫。米粒が輝いてる~」とニコニコして。お寿司が出てくるたびに「奈美ちゃん、エンガワやっべぇ」って、泣きそうな勢いなんですよ。

「ようそんなに喜べるなぁ……」と感心するくらい喜んでくれるから、こっちはどんどん気持ちがよくなる。お寿司にも旅行にも連れていき甲斐がありますよね。

砂かぶり席のひろ実さん(提供)

子どもは家族の犠牲になる母を見たくないもの

 旅行に行っても、文句ばっかり言う人いるじゃないですか。「これが800円やて、高っ! 私がつくったほうがおいしいわ」「こんなんいらんねん」とか。「もう、いらんこと言わんといて」とケンカになるような……。

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