公認心理師の佐藤めぐみさんは、「上の子がかわいいと思えない」と悩む10歳以下の子どもを持つ母親へのアドバイスを行っています。「なかでも『上の子』は女の子であることが多く、その背景には同性ならではの複雑な葛藤があるのです」と話してくれました。しかし、どんな事情があろうと「わが子をかわいいと思えない」という状態を放置しておいてはいけないと佐藤さんは言います。現状を変えるためにいますぐできることは何か、提案してもらいました。

MENU 「かわいくない」の慢性化は心理的虐待になりうる あなたの中で「ゆるめていけること」はどこ? 子どもとの関係改善は、できることから

「かわいくない」の慢性化は心理的虐待になりうる

「わが子だけど、かわいくない」と思うことは性別を問わず誰にでも起こりうることですし、きょうだい誰に対しても平等に接することも簡単ではありません。特に同性の子どもは、同性ならではの難しさがあるのは事実です。必要以上に自分を責めないでほしいと私は思います。

 けれど、そのまま放置しておいていいことではありません。子どもにとって親は、揺るぎない安全基地です。幼い頃に特定の人と深い絆を持つことで、生きていくために不可欠な安心感や信頼感の土台(愛着関係)を作り上げるのです。それがあるから人は、「私は私のままで生きていい」「この世の中は安心できる場所だ」と信じて、不安なく生きていくことができるのです。

「かわいくない」という気持ちがエスカレートして、娘を無視し続けたり、過剰に𠮟ったり、きょうだいでかわいがり方に極端な差をつけることは、親から「あなたは嫌い」「あなたはいらない」という有形無形のメッセージを送られて育つことになります。これは心理的虐待になりうる行為ですし、親子の愛着形成にゆがみがでてしまうことになる可能性があります。「自分のこの行動は問題かもしれない」と思ったら、現状を変えるために一歩踏み出すことをためらわないでください。

あなたの中で「ゆるめていけること」はどこ?

 では、具体的に何ができるかを考えていきましょう。子どもとハグする、手をつないで散歩する、「大好きだよ」と言う……、そういうことが「できそう」と思う人はぜひトライしてほしいと思いますが、私の相談者の方には「私には無理です」という方も少なくないのです。嫌悪感が払拭できないと苦しんでいます。

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神素子
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