子どもとの関係改善は、できることから

 そして次に、「かわいくない」と感じている子へのかかわり方を少し改善してみましょう。最初から「ハグしなくちゃ」なんてハードルを上げなくて大丈夫です。「いまの私には、何ができるだろう」と考えてみて、できることから始めてみましょう。たとえば以下に具体例をあげました。できそうなことはありますか?

1 いっしょの時間を過ごす

 小さいことでもいいので親子で時間を共有してみてください。「いっしょに楽しむ」「いっしょに喜ぶ」という体験が、1日1回でも作れるといいですね。

例)

・子どもといっしょにテレビや動画を見る

・2人でゲームをする

・ケーキを買ってきていっしょに食べる

・娘の好物を夕飯に出す

・児童館などのイベントにいっしょに行く、など

2 声かけを変えてみる

 しかったり注意したりするだけでなく、プラスの言葉を意識的に伝えましょう。「ほめるところなんてない」と思っていても、感謝や励ましの言葉を伝えられる場面があるかもしれません。

例)

・最後までやったらほめるのではなく、途中でも「わぁ、もうここまで終わったんだね」とほめる

・「ありがとう」「助かったよ」など、感謝の気持ちを言葉で伝える

・「がんばってるよ」「だから大丈夫、自分を信じて」など、勇気づけの言葉を伝える など

3 「上の子だから」「その子ならでは」のかかわりを増やす

 文字が読める子なら手紙の交換をしたり、子どもが幼稚園や小学校で読んだ本をママも読んでみたりしてみましょう。女の子であれば特に、娘の好きなマンガやアイドルの話をするなど、共通の楽しみを見つけられるかも。

例)

・交換日記やお手紙交換

・「推し」の話をする

・洋服を選ぶ、美容院に行くなどおしゃれを楽しむ など

 この中の一つだけでも、できそうなことを実行してみてください。私の相談者さんの中には、「娘に『ママ、今日はどうしたの?』とびっくりされました」とうれしそうに教えてくれた方もいました。子どもは親の変化に敏感なので、喜んでくれることが多いようです。その笑顔を見ると「かわいいな」という気持ちがよみがえるかもしれません。

 とはいえ、改善には時間がかかるものです。もしいい反応が得られなかったとしても、どうかあきらめないでください。コツコツ続けていくなかで、行きつ戻りつしながら、関係は変わっていくものなのです。

(取材・文/神 素子)

※続きを読む<「娘をかわいいと思えない」気持ちが“慢性化”してしまったら 公認心理師に聞く、親の悩みの背景とは>

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