下の子が生まれたとたん、きょうだいの上の子をかわいいと思えなくなり、その気持ちを解消できない状態になることがあります。最近は「上の子かわいくない症候群」などと呼ばれ、悩んでいる人は少なくありません。0~10歳の子どもを持つママの育児相談をおこなう公認心理師・佐藤めぐみさんは、「私のもとに相談に訪れるママの場合、『上の子』は圧倒的に女の子です」と言います。編集部に寄せられる声にも「息子はかわいいんだけど、娘はかわいいと思えない」「長女に甘えられると嫌な気持ちになってしまう」などの悩みがチラホラ。それはいったいどうしてなのでしょう。佐藤さんに詳しくうかがいました。

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一過性であるはずの「かわいくない!」が慢性化するとき

 子どもはときに、親が「かわいくない!」と思うような行動をとるものです。それは男の子も女の子も変わりません。親といえども感情がある人間ですから、相手が幼児や小学生でも、ネガティブな反応をされるとムカッとするのは当然のこと。「もう、本当にかわいくない!」と腹が立つ瞬間は誰にでもあります。それでも「ママのごはんおいしい!」と笑う顔や、すやすや眠る天使のような寝顔を見て「やっぱりかわいいなぁ」と気持ちを立て直す、それを繰り返すのが健全な親子関係なのだと思います。

 問題は「かわいくない」という気持ちが慢性化してしまうことです。最初は「反抗的な態度にムカつく」とか「下の子が生まれて、赤ちゃん返りがひどすぎる」などの理由でイライラすることが多かったのに、次第に「そこにいるだけで腹が立つ」「甘えられるとゾッとする」という状態になってしまい、「かわいい」という気持ちに戻れなくなるケースがあるのです。

 そこまで重症化するケースは、親と同性の子が多いです。ママであれば女の子、パパであれば男の子。私の相談室を訪れるのは女性が多いので、「娘がかわいくない」というママの相談が非常に多いと感じます。

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神素子
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