英語教育の低年齢化が加速する今、子どもの英語学習にどう関わればいいのか悩む親が増えています。英語教育の成功のカギはなにか。親ができることとは――。『斉藤先生! 小学生からの英語教育、親は一体何をすればよいですか?』(アルク刊)からお届けします。
【写真】英語力を生かして海外の絵本も翻訳したモデルで2児の母はこの人最も効率的な英語学習法とは?
英語を効果的に習得する方法は第二言語習得理論という学問で研究され、ベストプラクティスはある程度わかっています。この本で紹介する「耳から入り、真似をしてみる。次に文字を正しく読む練習をする。書く練習は最後」という大きな流れも、まさに第二言語習得理論に逆らわず、そして何よりも多くの生徒を教えてきた経験則に沿ったものです。
ただし、「最も効率的」というこのフレーズ、少し危うい言葉でもあります。
たとえば国会議員や官僚が社会的支援について議論するとき、「本当に必要な人にサポートを提供すべきだ」という主張がよく出てきます。報道でもよく目にするはずですし、こういう主張を聞いたら普通の感覚では「そうだそうだ」と思うでしょう。
でも「本当に」という言葉が曲者です。「本当に必要な人にサポートを提供すること」が究極の目標になってしまうと、「ああ、この人は別に『本当に』サポートが必要なわけじゃなさそうだから支援はやめよう」といった具合に、支援を削減する口実になりやすいのです。
「最も効率的な勉強」も同じで、効率だけを追求して勉強をすると「無駄に感じる勉強はしないこと」を正当化する根拠になりやすい。たとえば入試で3教科を選んだから「他の科目はやっても無駄だ」といった態度です。
しかし、そもそも勉強自体、無駄なものです。第二言語を学ぶことなどもっと無駄です。もっと言うなら生活保護が受けられる日本で労働に従事することは無駄ですし、みなさんが食べている美味しい食事も栄養学的には非効率で無駄なものばかりです。
でも「無駄」なところにこそ楽しさや幸せがあると私は思います。
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