例えば、「なんでそんなこと言うんだ」って言われたら、「先生のいってらっしゃいって言葉を聞くとつらくなるんです。だからうまく笑いにできないかな、って思ったんです」って。これを実行に移すのはすごく勇気がいると思うけど、まずは「先生はどうしてこんなこと言うのかな」っていう分析から始めてみるのはどうだろう。
「心のなかで突っ込む」っていう方法もあるよ。これは先生に限らず、嫌な気持ちを分散させたいときに使えるひとつの技。「いってらっしゃい」って言われたときに心のなかで「いや、どこへだよ!」とか、「君たちに足りないところは~」って言われたら「いや、お前がな~!!」とか。心のなかで突っ込んで、笑いにするっていうね。自分を守るための技だよ。
大人はカンペキじゃない
先生の味方をするわけじゃないけど、大前提として知っておいてほしいことがある。それは、「先生は全然カンペキじゃない」ってこと。よしおも子どものころ「親と先生はカンペキだ」って思っていたけど、大人になってからそうじゃないってことを知ったんだ。
その上でひとつチャレンジしてほしいのが、「先生のいいところ探し」。けいごくんはデール・カーネギーというアメリカの作家を知っているかな? 『人を動かす』というベストセラーの作者なんだけど、この本のなかでカーネギーは「アプリシエーション」という言葉を繰り返し使っている。アプリシエーションとは「十分に相手を理解する」という意味。この「十分に相手を理解する」というのは、例えば絵を見るときに、とにかく絵を観察することを大切にして「この絵はすごいな」「この絵を描いてくれた人に感謝しよう」みたいな、「いいところ探し」をするというような意味があるよ。
けいごくんには、ぜひこれを試してみてほしいんだ。先生をとにかく観察して、いいところをひとつでも探してみてほしい。いまはどちらかというと先生と向き合うとつらい気持ちになるから、あまり先生を見たくない、できれば離れたいという気持ちのほうが大きいかもしれない。だけど、いったん立ち止まって先生のいいところを探そうとしたら、先生の違う側面が見られるんじゃないかな。先生と向き合おうとするけいごくんは、もうカーネギーかもしれないね!
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