小学生英語の肝は「英語嫌いにしないこと」
さて「目的が変わればやるべきことが変わる」と書きましたが、どんな目的であろうと小学生英語で共通している「やるべきこと」がひとつだけあります。
それは、子どもを「英語嫌いにしないこと」です。
「英語好きにすること」でも「英語をペラペラにすること」でも「英検に合格させること」でもなく、「英語嫌いにしないこと」が小学生英語で大人側が常に意識したいことであり、私が一番伝えたいメッセージです。
小学生は伸びしろしかありません。将来の選択肢も無限にあります。それなのに、何かの負の体験をきっかけに「自分は英語が苦手だ」「英語って面倒くさい」「英語は楽しくない」「英語はツラい」といったネガティブな感情が植え付けられてしまうと、大人になるまでその印象を引きずりがちです。その子が非凡な語学センスを持っていたとしても、小さいときの躓きがトラウマとして残って、英語と距離を置き、選択肢を狭めてしまう。これは本当にもったいないことです。
そんな悲劇が起きるくらいなら早期に英語を学ばせないほうがまだマシです。語学学習は生涯続くものであり、小学校で英語をやらなくても挽回の仕方はいくらでもあります。どれだけ英語の魅力を伝えても本人が興味を示さず、スポーツや楽器や趣味などに没頭したいというなら、「英語をやらせるのはいまではなかった」と割り切って、子どもがやりたいことをやらせてあげたらどうでしょうか。数年後、なにかがきっかけで英語に興味を示したり、必要性を感じたりする時期がくるかもしれません。
そのときに改めて周囲の大人がバッと動き、学習環境を整えたり、子どもの背中を押してあげたりするサポートができれば、それで十分だと思います。
また、小学生の時代に英語学習で成果があったとしても、中学生以降に学び続けなければ、あっという間に追いつかれたり、さび付いたりしてしまいます。この点は、大人も一緒です。語学で上達したければ、努力を続けなければならないのです。
だからこそ、「嫌いにならない」こと、「学習を放棄するきっかけを作らない」という消極的な目標を持つことが、長期的な成功の鍵と言えます。
斉藤 淳