目的次第でやるべきことは変わる

 ここでまずお伝えしたいことは、「目的」すなわち「ゴール」が変われば英語学習でやるべきことも、レベル感も変わるということです。

「そんなことは当たり前だろう」と言われそうですが、目的を曖昧にしたまま自分の子どもに「あれをしなさい。これもしなさい」と詰め込もうとする親御さんは少なくありません。

 たとえば、YouTubeで小学生向けのサッカー動画を作るとしたら、プロのスカウトも注目している天才児と、所属チームでレギュラーを取りたい子どもと、サッカーをやったことがない子どもでは伝えたいことが変わるはずです。サッカー初心者に「体幹を意識しろ!」とか「ポジショニングが大事だ!」と教える必要はないはずで、いかにサッカーが面白いスポーツであるかを知ってもらうことに全力を注げばいいわけです。

 英語も一緒で、目指していることによってやるべきことは変わります。だからこそ「なぜわが子に英語を学ばせるのか?」という問いが重要になるのです。

「子どもを海外の名門大学に入れたい!」というご家庭であれば、小学生のうちにやるべきことは山積みです。英語をみっちり勉強する必要があるだけではなく、英語のニュースを観たり、英字新聞を読む習慣なども必要になるかもしれません。子どもの思考力や表現力、学習に対するマインドセットなども早いうちから醸成していかないといけないでしょう。しかもそれらは教育機関に入れたら確実に身に付くようなものではなく、本人の特性や家庭環境も重要になってきます。逆説的ですが、米英のトップ大学入試課は、親の意向だけで受動的にトレーニングされた受験生を嫌う傾向もあります。 

 長ずるに及んで、本人が望み、主体的に学ぼうという姿勢を見せない限り、海外名門大学入試は成功しません。

 そこまでの目標はなくても、目的が国内の受験に受かれば良いという考えであれば、進学塾や英検に特化した塾などに通って「受験英語」や「資格英語」といったニッチな英語をひたすら勉強する方法もあります。私たちの塾では英語力や思考力を総合的に鍛え、結果として受験や資格に受かるという方針なので「受験や資格の目的化」は奨励しませんが、そういう選択肢もあります。また試験を中間目標にすることで学習の動機を維持することは、十分に現実的な選択肢です。

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