「日本を脱出させたい」という考えは尊敬されない
3つ目の「将来の選択肢を増やしてあげたい!」という親御さんは最近多いですね。芸能ニュースを見ても子どもをインターナショナルスクールに通わせたり、教育目的で海外移住したりする事例が増えています。
たしかにいまの日本に明るい材料は乏しく、激烈な受験戦争を経て国内の有名大学に入り、晴れて日本の大企業に就職できたところで待っているのは安い給料と市場の縮小とグローバル経済の大波です。そんななか、「最悪の場合、日本を脱出してほしい」と考える親御さんが増えるのは自然なことでしょう。
しかし、私自身は、こうした前提自体が怪しいと考えています。少子化や市場の縮小は、今となっては先進国だけでなく新興国でも起こっている課題ですし、生まれ育った共同体を見捨て、機会主義的に漂うだけの英語遣いは、どこに行っても尊敬されない危険性と隣り合わせです。
どのようなケースを想定しても、英語自体の習得目標をどこに置くか、英語以外のスキルをどのように獲得するか、そうした目的設定や過程に親御さんがどのように関与すべきか、簡単な答えはありません。
教育者として誠実に生徒や親御さんに向き合うほど、生徒の学習データを丁寧に分析すればするほど、「安易な正解には飛びつかないほうが良い」と警鐘を鳴らし続けなければならないと思っています。
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