小学校で英語教育の強化が図られている今、子どもが英語好きになるには、就学前も含め、家庭でどんなアプローチをすればよいのでしょうか。親が知っておきたい「おうち英語」のポイントを、言語教育の専門家に聞きました。AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び」からお届けします。

MENU 【ヒント1】早くからと焦るべからず。プレッシャーをかけると英語嫌いになる可能性も 【ヒント2】最初は土台として“英語耳”づくりが大切。歌や動画は効果的 【ヒント3】最初に〝英語耳〟をつくる際は、奇麗な発音にふれるのが理想的 【ヒント4】英語に興味を抱くような工夫や仕掛けをたくさんしておこう 【ヒント5】最初は大文字から親しむ。街中でアルファベットを読めたら褒めてあげる 【ヒント6】体を動かしながら英語を身につけるのは〇 【ヒント7】英会話教室選びは、グループレッスンと「発音の奇麗さ」を重視しよう 【ヒント8】日本語と英語の両方に接しても混乱しない。抽象的な概念は「英→日」に訳してあげて 【ヒント9】無理に取り組ませたり間違いを叱ったりすると〝英語嫌い〟が加速する 【ヒント10】「好きなこと」×「英語」は英語に対するモチベーションを高めてくれる

【ヒント1】早くからと焦るべからず。プレッシャーをかけると英語嫌いになる可能性も

 「英語習得のスタートは早いほうがいいかというと、そんなことはないと思います」

 そう話すのは、米コロンビア大学大学院で修士課程を修了した磯崎みどりさん。日本で生活するうえでは日本語が基盤になるため、まずは母語でコミュニケーションの軸をつくることが大切だという。「日本人ならまずは日本文化を知ること。グローバル人材は得てして幅広い教養を持っているので、英語以外の興味も伸ばしてあげましょう」(磯崎さん)

 小学校教諭の正頭英和さんも「小さいうちから始めたからといって、効率的に伸びるとは一概には言えません」と同意する。英語習得には時間がかかるため、早くスタートを切るのは一つの考え方だが、強制は禁物だ。「プレッシャーを感じて小さいうちからやらされると、むしろ英語嫌いになってしまうかもしれません」(正頭さん)

【ヒント2】最初は土台として“英語耳”づくりが大切。歌や動画は効果的

 「英語指導に関わる人が100人いれば100人が最初はリスニングからと言うでしょう。日本語でも、聞ける言葉以上のものは話せないはずです」と、正頭さん。土台として〝英語耳〟をつくることを推奨する。「本能的に楽しめるもの」から始めるのがよく、小さいうちに英語の歌に親しむのは効果的だという。「きらきら星や「大きな栗の木の下で」など、海外の童謡を日本語に訳して歌われているものなら、英語版を聴いても雰囲気がつかめる。

 英語の動画鑑賞もおすすめだ。「動画を見終わったあと、『どんな話だった?』と聞くと、内容を振り返りながら、どこを把握できているかがわかります」(磯崎さん)

【ヒント3】最初に〝英語耳〟をつくる際は、奇麗な発音にふれるのが理想的

 「最初に〝英語耳〟をつくる際は、奇麗な発音にふれたほうがいいでしょう。その意味でも英語の動画にはずれはありません。親が英語を話すことにプレッシャーを感じなくても、デジタルコンテンツを使えばいろいろなものがあるので、有効活用すればいいと思います」(正頭さん)。耳を大事にすべき時期に、良質な英語にふれないのはマイナス要素になるという考え方だ。磯崎さんは「奇麗な発音に接するのが理想」としながらも、「世界中では第2言語としていろんな英語を話している人がいます。親がつたない発音でも英語の絵本を読んでくれる時間は楽しいし、子育ての面ではよい点もあるはずです」と話す。

【ヒント4】英語に興味を抱くような工夫や仕掛けをたくさんしておこう

 そもそも、子どもが興味を抱かなければ英語好きが促される可能性は低い。「始めはお勉強というより、楽しみながら英語にふれるのが理想でしょう。就学前であれば、『こういう言葉があるのか』と反応するくらいの段階でいいのでは」(磯崎さん)「A」なら「Apple」という単語とりんごのイラストが書いてある英語ポスターを家のお風呂の壁に貼り、目を引くような工夫が効果的だという。

 「興味を持たないと、自ら進んでやりたいとは思わないですよね? 英語の映画や動画を親子で一緒に見るなど、楽しい仕掛けをたくさんするのがオススメです」(正頭さん)

【ヒント5】最初は大文字から親しむ。街中でアルファベットを読めたら褒めてあげる

 英語の小文字は「b」と「d」、「p 」と「q 」、「u」と「n」という鏡文字があり、小さいうちは混乱しやすいと言われる。アルファベットは最初に大文字から親しもう。

「街中には、看板を含め大文字が多いですよね。英語が読めたことが子どもにとっては何よりうれしいので、『Bがあった!』『読めたね、すごいね』というのが、親子のいいコミュニケーションだと思います」(正頭さん)

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菅野浩二
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