一方で、本人が感じとったり体験したりして響くものには、すごく価値があると思います。例えば、絵画教室で色使いを褒めてもらえた。自分が見ている空の色は面白いらしいと、表現することが楽しくなった。その子は「自分は色というものが見える人なんだ」と自分を発見すると同時に、「自分が思うままに表現すると喜んでくれる人がいる」という体験をするわけです。こういう体験をしていると、ふと絵を描いてみたり他人の色彩感覚を褒めたりと、人生が豊かになります。

 さらに習い事をすることで、子どもに家庭以外の「自由な居場所」を提供することもできます。「親とは離れて取り組める場所」という点に、習い事の価値があります。習い事の先生は特定の分野のエキスパートです。絵画の先生は色彩的なものに長けているし、英語の先生は語学やコミュニケーション、異文化に詳しい。先生のバックボーンによって子どもを見るポイントは違うので、家庭では気づかなかった子どもの中にある「何か」が見つかる可能性が高いと思います。

 せっかくお金も時間もかけているんですから「わが子らしさを発見する」機会として利用しましょう! 子どもが習い事から帰ってきたら、表情がいきいきしているのか曇っているのか様子を見て、どんな気分になったか聞いてみてください。「今日は何を教わったの?」といった聞き方をすると、本人の「体験」を聞きそびれてしまうので気をつけましょう。

子:「けっこうできたけど○○ちゃんがもっとうまくて」

親:「自分が頑張ったけどもっと上手な子がいてどう感じた?」

子:「悔しかった」

 というような、子ども自身が感じて得た体験や気づきを聞くのがおすすめです。これをやることで、習い事のとらえ方が変わります。さらに、「習い事を減らす勇気」も出てくるんです。

たくさんやりたい子、どう整理する?

――「子どもがあれもこれもやりたがってやめられない」というお悩みもあるようです。

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