日ごろの睡眠不足を解消しようと、休日の朝は子どもに多少の遅起きをさせている親御さんも多いはず。でも、「休日の遅起きは子どもの睡眠リズムを大きく狂わせてしまう」と警鐘を鳴らすのは、睡眠の専門医で日本睡眠学会と日本睡眠協会の理事長を務める久留米大学学長の内村直尚先生です。内村医師に、休日の睡眠のとり方の注意点を聞きました。

MENU 休日に「寝だめ」はできない? 寝たいのに眠れないときの対処法

休日に「寝だめ」はできない?

――子どもの日ごろの睡眠不足の解消のために、休日の朝はゆっくり寝かせる、という親御さんは多いです。

「日ごろの睡眠不足を休日の朝の遅起きで取り戻そう」という考えはNGです。俗にいう“寝だめ”というのは、できないのです。睡眠リズムは体内時計によって作られますが、子どもは大人と比べ、体内時計が未熟。「休日だから」と、いつもよりも遅くまで寝かせておくと、体内時計がすぐに狂ってしまい、その日の夜の寝つきが悪くなり、結果、睡眠の質も下がるという悪循環に陥ります。よい睡眠のためには、休日といえども、朝は同じ時間に起きることが大切です。

――休日は家族旅行やイベント参加などで、いつもより遅寝をさせる、というケースもあります。

 遅寝をさせることも体内時計を狂わせます。ただし、ごくたまに1~2時間程度の遅寝であれば、次の日の夜に少し早めに寝ることで、体内時計の調整は可能です。

 遅寝をさせてしまったときの大きなポイントは、就寝時間が何時であったとしても、翌朝はいつも通りの時間に起こすことです。小学生に必要な睡眠時間は9~12時間ですが、これより多少、睡眠時間が短くなったとしても、翌朝、同じ時間に起こしてください。そして、その日の夜の就寝時間はいつもより1~2時間程度早めましょう。

 小学生では、昼寝も必要はありません。ただし、昼間に強い眠気が出て、やむを得ない場合に限り、1時間以内の短い昼寝はOKです。長時間昼寝をしてしまうと、また体内時計が狂って夜の睡眠がうまくいかなくなってしまいます。

 一晩程度の遅寝はこのような対処で対応できますが、“睡眠負債”の返済はあくまでも1日で返すべきもの。子どもの体内時計に大きく影響を与えないためには、二晩以上の連続した遅寝は避けてください。

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