即効性がある薬物療法と再発率が低いアラーム療法
薬物療法とアラーム療法は、どのように選択するのでしょうか。
「効果は同程度ですが、即効性があるのはデスモプレシン、長期的にみて再発率が低いのはアラーム療法です。どちらが向いているかは、ご家庭の事情によるところが大きいので、メリット、デメリットを説明したうえで、本人や家族に選択してもらいます。例えば塾や習い事が遅くまであって水分の調整が難しい場合はデスモプレシンは不向きです。一方アラーム療法は、アラームで飼い犬も起きてほえるので難しいというご家庭がありました」(西﨑医師)
薬物療法は薬をやめると再発しやすいので、治療が年単位の長期にわたることもあります。治療のやめどきは、どのように判断するのでしょうか。
「2週間おねしょをしなかったら薬の量を減らす、アラーム療法であれば水分の制限をなくすなど段階的に進めていきます」(西﨑医師)
二つの治療を組み合わせたり、どちらも効果が出ない場合は膀胱の収縮を抑える抗コリン薬を併用したりする方法などがあります。
宿泊行事を安心して乗り切るコツ
おねしょがある子にとって大きな壁となるのが、宿泊行事です。そこで役立つのが薬物療法です。おねしょの不安がある子には、薬を携帯することが安心材料となります。
「普段薬を服用していない子が、宿泊行事のときだけ服用してもうまくいかないことがあるので、事前に練習することをおすすめします。休日など時間をコントロールしやすい日に、食事や入浴、就寝の時間帯を宿泊行事と同じスケジュールにして過ごします。そこで薬を服用してうまくいけば、安心して宿泊行事に行けると思います」
宿泊行事を目標にして受診する場合は「遅くともその半年前には受診してほしい」とのこと。
「おねしょをしていることを人に知られたくないと、受診をためらう気持ちもよくわかります。けれども受診することで、病気が見つかることもありますし、治療によって早くおねしょを治すこともできます。焦ることはありませんが、安心して宿泊行事を迎えるためにも困っていたら、受診してほしいと思います」(西﨑医師)
(取材・文/中寺暁子)
