2012年から経口薬が保険適用に
夜尿症の治療の柱となるのは、薬物療法とアラーム療法の二つで、どちらも約7割の子に効果があると言われています。薬物療法で最初に選択されるのが「デスモプレシン口腔内崩壊錠(商品名ミニリンメルトOD錠)」です。2012年に保険適用となり、国内外で安全性、有効性が確認されています。
尿の量や水分を調節する抗利尿ホルモンに似た成分を補えるため、就寝前に服用すると夜間の尿量を減らすことができます。口の中でなめていると自然にとけるので、服用の際に水を一緒に飲む必要はありません。注意しなければならないのは、夜間の水分をコップ1杯程度にとどめる必要があること。服用したのに大量に水分を摂ると、水中毒(体内の水分が過剰になり、倦怠感、頭痛、吐き気、おう吐などが出現するほか、重度になると命にも関わる)になる危険があるためです。ただし薬の作用は5~6時間なので、翌朝から日中は水分を制限する必要はありません。
一方のアラーム療法は専用の機器を使用する方法で、パンツや専用パッドにセンサー付きの送信機をセットして寝ると、センサーが排尿を感知したときに親機(受信機)から光や音、バイブレーションによるアラームが出ます。そこですぐに本人を起こし、トイレに行かせます。
「アラーム療法になぜ効果があるのか、メカニズムは明確にはなっていませんが、毎日装着していると、起こされたくなくて朝まで膀胱(ぼうこう)に尿をためられるようになっていくようです。深夜1~2時にアラームが鳴っていたのが、だんだん明け方の時間帯になっていき、やがて朝まで鳴らなくなっていきます」(西﨑医師)
専用機器は購入、あるいはレンタルする必要があり、自費となります。また、家族の協力が不可欠で負担も大きくなります。
なお、どちらの治療でも生活習慣の見直しは継続します。
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