■入試問題との相性をみる

 入試問題との相性はとても重要です。人間同士でも相性があるのと一緒で、問題にも相性があります。私自身は解けるか解けないかは二の次で、「その問題が面白いと思うか? 解けるようになりたいか?」を重視しています。

 そもそも面白いとも思えない問題を一生懸命努力して解けるようになったところで、いざその学校に進学したらその面白くない問題を作っている人たちが待ち構えているわけです。絶対にやめたほうがいいと思っています。やはり、似たようなカラーの学校は似たような傾向の問題を出してくることが多いので、そういう傾向をしっかり見ることです。「この学校の問題は自分に合っている」と思うことも自分軸の一つです。

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 私自身は、受験は合格が目的ではなく、「成長」することが最優先だと思っています。受験を成長するための一つのイニシエーション(通過儀礼)として捉えればそんなに焦ることはないし、どんな結果になっても怖くない。

 受験で得た「自分の人生を自分で決定できる力」は、一生を通して使える大切な力です。これがあれば、これから先どんなことが待ち受けていようと、自分の力で幸せをつかみ取ることができると思います。(構成/江口祐子)

※「自分で選択する力をつける」リベラルアーツについては、『自分で考える力を鍛える 正解のない教室』(朝日新聞出版、矢萩邦彦著)で解説しています

自分で考える力を鍛える 正解のない教室

矢萩 邦彦

自分で考える力を鍛える 正解のない教室
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矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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