「通常の形式では、自分が賛成するどちらか一方の主張を記述させていたと思います。あえて対立する二者の意見を考えさせることで、異なる意見にも耳を傾けましょうという、学校の意思が感じられます」
最近では国語だけでなく、算数や社会、理科でも考え方や途中式を書かせたりするようになっている。
「特に算数は、手を動かしたり、作業させたりする問題が多くなっています。『試行錯誤できる生徒がほしい』という学校側の希望の表れかもしれません。答えにたどり着かなかったり、間違いに気付いたりすると、途中式を丸ごと消してしまう受験生がいますが、必ず残しておきましょう。部分点がもらえる可能性があるからです」
また、問題の中に、身近な話題を取り入れているのも特徴の一つだ。浅野(横浜市)の算数では、ウイルスの感染者をもとにした割合の問題が、香蘭女学校(品川区)の社会では、タブレットとテレビの接続についての正誤の問題が出題された。
入試問題との相性も重要
教科や単元に対しそれぞれ得意、不得意があるように、受験生と入試問題にも相性があり、必ずしも偏差値だけで合否が決まるわけではないという。
「学校選びの指標として偏差値がありますが、絶対のものではありません。問題の傾向と自分の得意分野の相性が良い学校ならば、合格偏差値より低くても合格することもあるし、もちろん逆の場合もあります。塾の先生は生徒の得意・不得意をよく知っているので、塾の先生に相談してみては」
注意したいのは、新しく開校した学校だ。受験生が大勢志願し高倍率になると、過去の事例がないため塾が合否の目安のために算出した偏差値が機能しなくなることがある。
過去問の売れ筋から、受験生の動向もうかがえるという。
「最近は、最難関校の過去問が売れなくなってきましたね。逆に1月入試で膨大な数の受験生を集める栄東(さいたま市)は、大幅に伸びています」
大学付属校は依然人気が高いものの、内部進学も兼ねているハイブリッド型の早稲田(新宿)、芝浦工業大学附属(江東区)、日本大学(横浜市)、学習院(豊島区)、学習院女子(新宿区)などの売れ行きが伸びているという。
後藤さんに、過去問を生かした上手な入試対策を聞いてみた。
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