矢萩:それはありますね。やめたらもっと勉強をやれ、と言われるからかもしれないし。もしそうなら、なおさらやめさせないほうがいいと思いますが。

安浪:特にチームスポーツは本人だけの問題じゃない場合も出てきます。例えば5年の秋とか6年になってごそっと受験組が抜けたりすると、高学年一人一人の責任が重くなって、やりたくないのにキャプテンをやらされたりして、こんなはずじゃなかったけれど、やめられるポジションじゃないし……となるケースもありますね。あるいはコーチとの関係もあります。今までの教え子たちを見ていると、6年の10月ごろまでやり切った子もいれば、チームは抜けたけれどスポーツは続けたいからと個人の先生について、週1で細々と続けていた子もいましたし、さまざまです。

土日が埋まる場合、模試をどうするか

矢萩:現実的な問題として、スポーツをやっていると土日が埋まってしまうんですよね。そうすると戦略として立て直さなきゃいけないのは、模試はどうするか、という問題。でもこれも受けなかったらダメなのかっていうとそんなことはないじゃないですか。受験に間に合えばいいわけで。

安浪:そうです。模試に関しては、これはコロナの一つの産物であると思いますが、自宅受験ができたり、振替の模試が増えたりと、結構バリエーションは豊富になってきています。ですから自分の塾の模試に限らず、受験できそうな模試をとりあえずいろいろ申し込んでおいてもらうこともあります。スポーツって、勝ち進んで行くと次の週末も試合です、というように先が読めないこともよくあるので。

矢萩:スポーツをやっているご家庭って何かと事例を求めがちなんですよね。「ずっと野球をやっていて合格した子はいますか?」とか、「週3でスポーツをやっているんですが、それぐらいの頻度でスポーツやっていて合格した子はどれぐらいいますか?」とか。でも、そういう情報って、たぶん役に立たないんです。やはり、ご家庭ごとで状況は違うし、どれだけ親子で合意ができているかのほうが大事です。つまり、前例があるかないかの話じゃなくて、なんで両方やりたいのか、どっちのほうがやりたいのか、どれぐらいその中学に行きたいのかと、本人の気持ちをちゃんと整理したり認識して、じゃあこうしていこうか、というプロセスが何よりも大事です。事例探しは意味がないです。どっちの実例もありますから。

次のページへ
前へ
3/4
次へ