矢萩:あとは、サッカーをやっていた時間を勉強に振れたところで、その分成績が上がると思わないほうがいいでしょう。やったらやっただけ上がる、というものでもないんです。発達段階や成長のタイミングだとか、モチベーションの高さだとか、先生や学び方との相性や効率の良さだとか、いろいろな要素が組み合わさって成績って上がっていくものなので。そのなかでも、やっぱり主体性を僕は一番大事にしたい。ヘトヘトになっていても、本人がやりたいって言っているなら、僕はやらせてあげるべきだと思います。

安浪:親が「両立しなさい」って言っていて嫌々やっているならともかく、自分がやりたくてやっているわけですからね。そして本当に、成績って時間をかけたから上がる、というものではないです。

矢萩:4科受験で行きたい学校が本人のなかに強くあるんだったら、バランスはコントロールしてあげたほうがいいかもしれないですね。続けるか、やめるかではなく、例えば、週のうち1日とか月のうち2日だけサッカーの日を削ろうかとか、サッカーと勉強以外のことを極限まで削ろうか、とか。6年生になったらこれくらいの割合にしようとあらかじめ相談して合意形成しておいたり。やりたいことを大事にしつつ、両方続けてうまくいく確率をあげていくための作戦を一緒に考えていく感じですね。もし本人がバランスを変えてまでその学校に行きたいわけじゃない、と言うんだったらサッカーを優先してあげればいいと思う。

やめたくないと言っている本当の理由は?

安浪:指導に入っていると実際にこういったご相談をよく受けるのですが、本人や親御さんを交えて、全員が納得する道を探りますね。その結果、もう5年の夏でやめようかという結論になることだってあると思います。サッカーを続けたほうがいい、と我々が言っているのも、今、このご相談の文章だけを見ての感想なので。あとは本人がなぜサッカーをやめたくないって言っているのかも、もっと聞くと思いますね。本気でサッカーが好きなのか、何か他に事情があってやめたくないと思っているのかもしれません。

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