■使える語彙を増やすには
矢萩:本を読むっていうこと自体がつらいなっていう子は、親が一緒に読んであげるのが大事で、これって自転車と一緒だと思っているんです。子どもに自転車を与えてもすぐに乗れるようにならないじゃないですか。最初は補助輪をつけたり、後ろを支えてあげたりすることでだんだん乗れるようになる。それと一緒で、本をただ与えても読めるようにはならないです。最初は一緒に読んであげる。最初の段落は私が読むから次の段落はあなたね、とするのもいい。慣れてきたら「この先、この物語はどうなると思う?」と聞いて予想させる。当たるかどうかが大事なのではなくて、文脈を想像させてみることが大事なのです。
安浪:あとは語彙も大事ですよね。5、6年になると具体的なものを抽象化して答えさせる問題が多くなってくるので、その時も語彙がどれだけあるかかが重要になります。そうお話すると、テキストを買ってきて語彙を一つひとつ暗記していく、ってやりがちなんですが、やはり使える語彙を増やすのにいちばんいい方法は、この連載で私達が何十回も言っていますが、親子での会話だと思います。
矢萩:さらにちょっと補足をするならば、受験国語っていうのは、そもそも悪問が多いんです。ここでいう悪問っていうのは答えがたくさんあるのにも関わらず、一つの模範解答を設定していること。あとは、そもそも問題文になっているのはその作品の一部を切り取ったものですよね。問題作成者はその前後の文を知っているからそういう問題を出せるけれど、初見の子には厳しいよね、というような問題も、中学受験の国語問題にはかなりあります。
安浪:とくに物語文はそうかもしれないですね。さらに国語の難しいの、答え合わせだと思っています。親が丸付けしても、特に記述などはどのぐらいの点数をあげたらいいのかわからないケースってありますよね。キーワードが入っていたらいい、という知識があったとしても、この子どもの答えで何点なのか、迷うことも多いです。
次のページへ部分点の判断も難しい