■秋以降はどうなるかわからない


安浪:本当にそうですね。ちょっとシビアなことを言うと、今回いただいたご相談も秋以降どうなるかわからないと思うんですよ。6年の秋になったら、今の持ち偏差値より1、2ポイント下っていうところが5ポイント上になっちゃっているかもしれない。あるいは秋になって、憧れ校が手の届くところまでになってきたら、これまた第一志望が変わってしまう可能性もありますよね。先ほど矢萩さんがおっしゃっていた話ではないですが、じゃあ志望校って何?という話になる。ですから今の時期の勉強については、学校云々に関係なくきちんと基礎に取り組んで、目の前のテストの点数をちゃんと取っていきましょうって話します。そして、志望校の最終決定はやっぱり秋以降ですね。


矢萩:あとは家族全員で合意形成しておくことですね。つまり家族みんなが納得して腑に落ちている状況を作ることです。やっぱり家族みんなで応援する、みんながそうだよね、その方針がいいよねって思っている環境は、安心感があるんですよ。子どもが安心して頑張れる状況をつくり出すってすごく大事なんです。「私はこれやりたいけれどお父さんは反対している」とか、「お母さんの理想は本当はこうみたいだ」という状況は子どもにとってつらいです。みんなが合意形成をして走っていたら、たとえうまくいかなかった場合でも挫折にならない。「こういう結果になったけれど、みんなで頑張ってだめだったんだったらしょうがないよね」というふうに比較的切り替えが早くできるようになります。家族全員で同じ夢を見て、結果は連帯して受け入れていく、となると家族がチームとして強くなるし、お互いケアもできるようになります。



(構成/教育エディター・江口祐子)


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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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