安浪:安全圏の学校を第一志望にすると気が緩むか否かという話については、憧れ校と比べればそりゃ油断しますよ、子どもですから(笑)。ただ、ここでおっしゃっている「憧れ校」って何をもって憧れなのか、ということが気になります。学校名なのか進学実績なのか校風なのか、ぶっちゃけ偏差値の高さなのか。私だったらそのあたりをもっといろいろお子さんにヒアリングして「憧れ校のこういうところがいい」と言われたら、「この学校とこの学校もすごく似てるよ」と、他の学校をいくつか提案します。
■気に入った学校が第一志望、は当たり前
矢萩:憧れ校とか第一志望を諦めた、諦めない、という話ってよく聞くんですけれど、実際に学校に通ってみないと分からないことがたくさんあるわけです。もし今の段階でしっくりくる学校が見つかったんだったらそれはすごく幸せなことだと思います。本来、気に入った学校のほうが第一志望であることは当たり前なんですが、このご質問の文脈では、そうじゃなくなっていますよね。偏差値が少しでも上の学校にひとりでも多く入れたいっていうのは、塾側の都合なんです。一番行きたいのはここなんだけれども、こっちのほうが偏差値が高いからこっちが第一志望ね、みたいに思ってしまうと混乱してくるので、塾側の思惑に飲み込まれないようにしたほうがいいと思います。
安浪:ただ、このお母さんはそれで気が緩んでしまうことを心配しているんですよね。実際の勉強の進め方として私は、気に入った学校の偏差値より少し高めの学力がつく勉強をしておいて、上位合格を目指そうね、と発破をかけています。実際に合格していくのはやはり、その学校を第二志望以下として併願を組んでいる、学校の偏差値より学力が上という子たちが多いという現実があります。
矢萩:僕はそもそも安全圏の学校を目指してのびのびと勉強ができそうなら、一つの選択として堂々とそうすればいいんじゃないかと思うんですよね。まわりから「ここを目指しなさい」と言われた学校を目標にしてプレッシャーに耐えながら勉強していくのは不健全だと思っているので。もちろん実力がきちんとついているかどうかは分かりにくいし、もう安全圏でもないよっていうところまで緩んでしまったら、ある程度は強制してやらせる必要もあるだろうし、マネジメントは必要だと思いますが。
次のページへ小学生特有の難しさとは