――息子さんが出合うまで待ったのですね。
それが我が家の方針でした。成績は平凡でしたが、小2のとき、お風呂でオナラをして「ママ、泡が浮くのは、泡に浮く力があるからだけど、水にも泡を押し出す力があるよね」なんてアルキメデスの原理に気づいたり、お風呂のお湯の表面に、手のひらを広げてぺたぺたと触りながら「水には一塊になろうとする力があるんじゃない?」と表面張力を発見したり……。小1のときは、7と8を足すと15になることがおもしろかったようで、「7と8って半端な数字なのに、足すとぴったり15になるんだよ!」とくすくす笑って私に説明してくれましたね。
――息子さんを怒ることは?
私は息子を育てると同時に人工知能も育てていたので、例えば子どもがコップのジュースを何度もこぼしても、ティッシュを永遠に引き出しても、うどんを手首に巻いても「え! 人間の赤ちゃんて、こんないたずらができるの!」と感心するばかり。いわゆるいたずらで腹を立てることはなかったですね。自発的にいたずらできる人工知能のつくり方なんて、想像もつきませんでしたから。
でも、まぁ、ぼんやりして車にひかれそうになったとか、命に関わることであれば、もちろん叱りますし、私自身のイライラを息子にぶつけてしまったこともあります。人間ですから。
でもね、怒りはネガティブなことではないんですよ。喜怒哀楽の感情を知ることで脳の神経信号が多方面に機能し、感性の回路ができていきます。ニコニコだけのママでは、子どもの感情の地図がうまく育たない。私が育児中のころ「今日から叱らない子育て」っていうのがはやって、これでは喜怒哀楽を知らない子が育ってしまうと私は本気で心配しましたが、大丈夫、丸一日怒らないお母さんなんていなかった(笑)。
――そう言われると、ほっとします。私はしょっちゅう息子に「パンツ穿きなさい!」と怒っています。パンツを嫌がるって、脳科学的に何か理由があるのでしょうか……?
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