相談者さん、「断れない息子=優しい息子」という図式は、決して成り立ちません。もし、息子さんに「断られる意志」がないか、もしくは「嫌われるのが怖いか」のどちらか(あるいは両方かもしれません)であるとすれば、それは、小さいときから、はっきりと「イヤ」「だめ」と断れる意志や、嫌われることを怖がらない力をつけてあげてください。
ルールや順番は、これまでの慣例に従っていればいいというものではありません。本当の「ルール」は、臨機応変に、自分でつくるものです。本当の幸せは、自分でつくるものだからです。
相談者さん、ぜひ、息子さんを、「いつでもルールをアップデートして、人間性を高めることができる人間」に育ててあげてください。そういう力強さと柔軟さを持っていれば、息子さんの人生はもっと幸せに満ちたものになるに違いありません。
【まとめ】
友達付き合いは対等、しつこくしないこと。慣例やルールをいつでもアップデートできるような柔軟な人間に育てよう
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山口謠司(やまぐち・ようじ)/中国文献学者。平成国際大学新学部設置準備室学術顧問。大東文化大学名誉教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞受賞。著書や監修に『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など多数。2021年12月に監修を務めた『チコちゃんと学ぶ チコっと論語』(河出書房新社)が発売。ラジオパーソナリティ、イラストレーター、書家としても活動。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族。