矢萩:お父さんは自分の成功体験を重ねちゃダメ、と言うことをもう一度考えてほしいです。自分の子どもとはいえ違う人間だし、そもそも時代も違うし、受ける学校が違えば求められていることも違う。何もかも違うっていうことがちゃんと腑に落ちていないからこういう軋轢が生じてしまうと思うんですよね。わからない問題に関しても、自分がわかったから娘もわかるはずだっていうのはおかしい話ですよね。自分のキャパを広げないと次の一手が出せないと思うんです。つまり、まずはこの子と自分は違うということをメタ認知する。違うとしたら別の言い方ができるだろうか、どこまで寄り添えるのかを考える。もちろんこれって親子だからこそ難しいんです。それにお父さんは先生ではないので、いろいろな手を知っているわけではないと思うのですが、まずは自分を娘さんに投影しない、ということがすべてかな。これは受験に限らないことですが。

■この時期、子どもの心に沁みるのは…

安浪:それに、お母さんやお父さんが「ほらこんなにできるようになってるよ」と褒めても「パパもママもこの問題、解けないじゃない」「パパやママの時代と違うんだよ」という気持ちもあって、子どもの心に入っていかないこともあるかもしれない。この時期、子どもの心に一番沁みるのは、やっぱり志望校の過去問で点数が取れた時なんですよ。だから、素人の親があれこれ言うより、プロである塾の先生に肯定的なことを言ってもらったほうがいいです。親としてできることは、「残りの期間どうしてほしい?」って素直に本人に聞くのも有効だと思います。親が勝手に考えて行動しても空回りするパターンだと思うので。もしお子さんが言わなかったら塾の先生に聞いてもらってもいいかもしれないですね。「本番までの期間、ご両親に何をしてほしい?」って。その場合は、あらかじめ塾の先生に電話をして意思疎通しておく必要がありますが。

矢萩:塾の先生にお子さんが成長した部分を褒めてもらえるような動線をなるべく作っていけるといいですね。社会が得意科目だっておっしゃっているので、まずは社会の過去問や難問に注力するのもありだと思います。得意って言っているということは嫌いじゃないはずだから、まずはそこで先生に褒めてもらうきっかけを作る。そこから他の教科のモチベーションも上げていったほうがうまくいくこともあります。

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