矢萩:そうですね。まずは親子喧嘩ですが、ポジティブなところから捉えると、親子で対話があるのであれば、僕はある程度は大丈夫だと思うんです。ただ、お父さんが頑張っているのはわかりますが、だからといって教えるのに向いているかどうかは話が別です。焦って感情的になってしまうなら、親がやること、他の人に任せることのバランスはとったほうがいいですね。
安浪:気になるのは、お子さんが「過去問が相性に合わない」と言っていることです。過去問を何年分やったのかはわかりませんが。本当の志望校なら、相性が合う、合わないと言わずに、合わせようとすると思うんです。
矢萩:それは僕も思いますね。例えば、同じぐらいの偏差値の学校の過去問をやってみて、出来ないのは相性によるものなのかどうかを体感してもいいかもしれない。相性の問題ではなく、単に知識が抜けていた、ということなのかもしれないし。もう一度親子で考えてみて、その中で志望校を考え直すでもいいし。
■学力そのものが下がっているのではないのでは?
安浪:得意科目である社会が半分、国語で過去最低点……。この文章を読むとお子さんが中学受験に対してのモチベーションを下げてしまっている感じに受け取れるんですよね。受験する学校が本当は気が進まないのか、中学受験自体に辟易してしまっているのかはわかりませんが。学力そのものが下がっているわけではないと思うんです。「時計算」がわからないのは別にいいんですよ、これは算数の中でもいわゆる知識系の問題で、みんな解き方を忘れているものなので。入試直前に詰め込み直せば大丈夫です。
矢萩:僕も学力自体が下がっているわけではないと思います。モチベーションが下がっているのであればそれはなぜか。今はもう話し合っている時期でもないでしょ、って思ってしまうかもしれませんが、そんなことなくて、1時間でもいいから対話してみてほしいですね。
安浪:そうそう。志望校を最終決定したのは1月入ってから、という家庭もありますから、全然まだ時間はあります。親として焦る気持ちもわかりますが、中学受験に「こうすべき」という道はありません。とはいえ今の時期、親にできることは、まず本人に自信を持たせることですね。半分しか取れなかった模試でも、「落ち着いてもう1回見直してごらん」って言ったらきっともっと取れるものなんですよ。制限時間を取っ払って、もう一度ゆっくり見直してみたら「解ける問題いっぱいあるよね」って。そうやってまずは自信を回復させてあげる事が大切です。
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