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Q:旅行中に発熱などの症状が出た場合、どうすべきですか。

勝田「海外での発熱は、地域によってはマラリア、デング熱、消化器感染症など重篤な感染症によるものの場合もあります。新型コロナとは関係なしに、発熱があってつらいなら、基本的には病院に行くべきです。

 現在は海外でもいわゆる『ゼロコロナ政策』を取っている国はほとんどないので、仮に新型コロナ陽性が判明しても、怖がる必要はありません。なお、海外では設備の整った富裕層向けの病院と一般の病院で受けられる医療が全く違うケースがよくあります。富裕層向けの病院にかかるには支払い能力の証明が必要なので、海外旅行傷害保険には必ず加入しましょう」

関西福祉大学教授 勝田吉彰さん/医師・医学博士。専門は渡航医学で海外赴任者の健康管理や国境を越える感染症について詳しい

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Q:全国旅行支援が終わると、旅行費用はどうなりますか。

鳥海「日本人の国内旅行はかなり増え、このゴールデンウィークはほぼコロナ前同等との推計でした。全国旅行支援は多くの都道府県で6月末、長く続くところでも7月で終了予定ですが、インバウンドもかなり増えてきていて、旅行支援終了後もホテル代などが大きく下がることは考えにくい状態です」

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Q:夏休みがいまから楽しみ。アドバイスをお願いします。

鳥海「水際対策がなくなることで、確実に海外旅行に出やすくなるでしょう。一方、円安・物価高の影響で安価に海外旅行に行くのはかなり難しくなってきました。下げられる余地がある程度あるのは移動費。国内を拠点にするLCCが増えていますし、既存の航空会社のセールもあります。そうした情報を見逃さないようにしましょう。

 国内旅行ではホテルやレンタカーを早めに手配することも重要です。インバウンドの戻りが力強く、中国からの訪日客も増えれば、予約はかなり困難になります。ホテルやレンタカーのキャンセル料が発生するタイミングや規定を確認して、ある程度日程が決まったらまずは予約しておくといいでしょう」

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Q:インバウンドが増え、国内旅行も盛んになりました。今後のコロナ流行が心配です。

勝田「海外からの流入や感染拡大は当然起こります。コロナに限らず、デング熱など従来の日本ではまれな感染症も旅行者によってもたらされます。ただ、観光旅行を受け入れる以上避けられないことです。

 一方で、高齢者、基礎疾患がある人、免疫抑制剤を飲んでいる人などコロナが依然脅威になる人もいます。そうした人への配慮は広くとっていく必要があるでしょう」

(科学ジャーナリスト・大岩ゆり、編集部・川口穣)

AERA 2023年5月15日号

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