趣里:ええ! ありがとうございます。斎藤さんは大変な役柄にもかかわらず、現場ではすごくナチュラルでいてくださって、チャーミングな方でもあるなあと感じました。「零落」とプリントした腹巻きをみんなにプレゼントしてくださって「なぜ腹巻き? でも大事だよね、おなか!」って思いました。

斎藤:僕は人の「腸」に興味があるんです。性別とか見た目とかよりも「腸」の状態がその人を表していると思っていて。趣里さんはすごく綺麗な内臓をされていると思います。

趣里:えっ、わかるんですか?

斎藤:わかります、僕ぐらいになると(笑)。それに真冬の撮影だったのに夏の季節の設定だったから、趣里さんの衣装の布の少なさが心配で気になって。

趣里:あはは。たしかにずっと生足出していましたもんね。

斎藤:完成した作品を観ると趣里さんはちゃんとその季節の表情、佇まいをしているからすごい。僕は普通にカイロ貼って寒がっているおじさんの顔をしている。でもそれが苦悩の表情に見えていたらいいな、って。

■ぬいぐるみがなさそう

趣里:現場のみんなで集合写真を撮るときに、私が劇中に登場するぬいぐるみを持っていたら工さんに「家にぬいぐるみとかなさそうだよね」って言われたんですけど、覚えてますか?

斎藤:覚えてます。趣里さんって“魂年齢”が老成しているという印象なんですよね。人形とか人間とか、あらゆるものの「外側」と「中」を知っていて、もうそういうものの先にいっているんではないかと。

趣里:そんな深いことだったんですか!(笑)

斎藤:そういう「虚無感」みたいな面も竹中監督の演出の狙いにある気がして。趣里さんってディズニーランドでも耳とかつけないタイプでしょう?

趣里:……つけない。しかも、そんなに行かない(笑)。

斎藤:やっぱり。

趣里:行きたいと思う気持ちが出てくるときもあるんですけど、「イエーイ!」みたいなノリではなく「(こそっと)……行く?」みたいな。言われてみれば、ぬいぐるみとかキャラクターグッズも確かに家にほとんどないですね。ぬいぐるみだけじゃなく、家具などにも全くこだわりがなくて、昔に買った座椅子をずーっと使ってます。

斎藤:当たってた!

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