大谷理伸さん(右)、大谷望さん(撮影/小黒冴夏)
大谷理伸さん(右)、大谷望さん(撮影/小黒冴夏)

 AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。AERA 2023年3月13日号では、そよかぜ農園で野菜栽培・定期宅配を担当する大谷理伸さん、そよかぜ農園/イツモノでやさいセット出荷や米粉のお菓子屋さんを担当する大谷望さん夫婦について取り上げました。

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 妻が22歳、夫が31歳のときに結婚。長女(9)、長男(6)、次男(4)と暮らす。

【出会いは?】妻がPARC自由学校の受講生として、茨城県に住む夫の農園の田植えに参加。

【結婚までの道のりは?】草取りや稲刈りでも顔を合わせ、交際開始。約5カ月で移住、同棲。10カ月のお試し期間を経て、婚姻届を提出。

【家事や家計の分担は?】掃除や洗濯系は妻、薪ストーブやボイラー系は夫。ご飯を作ってもらったほうが皿洗い。家計は一緒。

夫 大谷理伸[42]そよかぜ農園 野菜栽培・定期宅配

おおたに・まさのぶ◆1980年、東京都出身。早稲田大学卒業。東京での生活に行き詰まりを感じていたとき、美味しいトマトに心を動かされ就農を志す。2008年から茨城県石岡市の八郷で野菜や米を生産。年間を通じて多品目を栽培、定期宅配する

 農家は力仕事が多いから、夫婦で一緒に仕事をすると男が偉そうになりがち。子どもが生まれると旦那が忙しく働いて、家に居るかみさんに無言のプレッシャーをかけるのも「農家あるある」。そういうので初期は揉めたかな。

 6年くらい前、彼女がお菓子づくりをやりたいと言い始めたとき、僕は否定的で。生きていくのに必死だったから「どうせ食べられないでしょ」って。でも彼女がイキイキできるやり方をするのが一番力を発揮できるってことがだんだんわかってきて、1年かけて工房の小屋を建てました。

 結果、やはりよかった。彼女がマーケットに参加したりして、新しい人のつながりがどんどんできている。農家って土着の民だから、積極的に打って出ないと広がりを持てない。彼女のおかげで友達が増え仕事にも変化が出てきた。

 のんびりした性格を最初はちょっと心配したけど「この人で大丈夫かな」的な迷いは一度もない。かみさんがご機嫌であれば全てうまくいく。それを今は確信しています。

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