※写真はイメージ(gettyimages)
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 値上げラッシュの中、家計の大きな負担になっている電気・ガス代。いつも通り使っていたのに、想定外の高額請求に驚いた人も多いのではないだろうか。電気・ガス代の高騰はいつまで続くのか。AERA 2023年2月20日号の記事を紹介する。

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 大幅値上げの新電力から東京電力の規制料金(※国の規制で値上げが制限)に乗り換えたにもかかわらず、1月の電気代が1人暮らしなのに2万円超で絶句。暖房の設定温度を17度に下げ、冬山登山用の防寒肌着を着込み、さらに着る毛布を羽織って震えながらテレワークをしています。(東京都、40代、女性)(アエラへの意見から抜粋)

 今回の特集のために読者アンケートを実施したところ、こうした悲痛な叫びが続々と寄せられた。1月中旬に公表された消費者物価(2022年12月分)の内訳を見ても、前年同期比で電気・ガス代の値上がりが突出。消費者物価の上昇は過去のオイルショックに匹敵するほど急ピッチだが、それを牽引しているのが電気・ガス代だ。

 特に電気代の値上げ、オール電化なので骨身にしみます。尋常でない値上げ幅だと思う。

 節約術もこれ以上見当たらず。早く布団に入るようにしています。(大分県、40代、男性)

 その凄まじい値上がりの背景について、ポスト石油戦略研究所代表でエネルギー研究者の大場紀章さんはこう述べる。

「日本の発電は約7割を火力に依存しており、その主たる燃料は天然ガスと石炭です。天然ガス価格は、昨年6月まで上昇が顕著だった原油価格に連動しています。一般的に原油価格の高騰は、ウクライナ戦争が引き起こしたものだと理解されがちです。しかし、その影響は昨年3~6月頃に限定され、それ以前から続いてきた原油価格の上昇は、経済活動再開に伴う需要の回復がもたらしたものです」

 こうして発電コストが膨らんだことから、いち早く料金の引き上げに動いたのは、2016年4月の電力自由化を機に参入してきた新電力。旧電力(従来から発電・売電を担ってきた電力会社)も新電力に対抗していたプランは引き上げたが、規制料金のほうは棚上げだった。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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