■新機種好きには向く

 このプランが向く人も、もちろんいる。ITジャーナリストの石川温さんに聞いた。

「必ず2年間隔で乗り換えて常に新機種を使いたい人にはマッチするプランです」

 そう、いつも新しいスマホを使いたい人にはぴったりだ。

 もう少し長く使いたいが一括払いがつらい人は、Appleの分割払いにしたほうが総支払額は安い。また、2年間隔で買い替える人も、携帯会社に返すのではなく下取り、または売却したほうが有利な場合もある。

「機種変更の際にAppleで下取りするより、中古買い取り業者に売却すると、より高い値段がつく場合が多いです」

 一つ前の機種、iPhone13 Pro(128GB)の中古品相場を調べると、最高10万円以上の値をつける業者が存在した。ただ中古買い取り業者は査定が厳しく、微小なキズでも減額対象に。きれいに使っている人は中古買い取り業者、ラフな使い方ならAppleかキャリアの下取りが無難か。

 その点、“スマホお返し”は約2年後の残価(下取り価格)が確定しているし、自分で売却先を探し出す手間も不要。金銭面で損なことを除けば、ラクに新機種を使えるのも確かだ。

 ここで気になるのは、返却したiPhoneの行方。石川さんが答えてくれた。

「修理中スマホの代替機として貸す場合もありますが、圧倒的に多いのは中古市場への売却と思われます。中古iPhoneは世界的に流通しています。日本で使用された製品は状態がよいものが多く、高値で売れます」

 あなたが“お返し”したiPhoneは、海の向こうで誰かが使っているかもしれない。(金融ジャーナリスト・大西洋平)(編集部・中島晶子)

AERA 2023年2月13日号

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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