近隣住民からの苦情を受け、長野市が3月末での廃止を決めている青木島遊園地。地区では、存続を求める住民有志らが会を結成し、市に要望書を提出した
近隣住民からの苦情を受け、長野市が3月末での廃止を決めている青木島遊園地。地区では、存続を求める住民有志らが会を結成し、市に要望書を提出した

 長野市が住民の声を反映して公園廃止を決めた件で注目が集まる子どもと騒音の問題。保育園新設は住民の反対を受け、学校では授業中の声にも苦情がくる現状があるが、問題の本質はどこにあるのか。解決の糸口を探る。AERA 2023年2月6日号の記事を紹介する。

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 近隣住民から「子どもの声がうるさい」などと苦情を受け、長野市が管理する公園の廃止が決まったと昨年12月、地元紙が報じた。その後、開設前の段階から近隣住民とのコミュニケーションが不足していたことなども報じられたが、「子どもの声は騒音なのか」と大きな話題になった。

 待機児童解消のために保育園の新設が相次ぐ中、住民の反対などで開園延期や計画を断念したケースもある。そこで、AERAでは子どもの声に関するアンケートを実施した。子どもの声はほほ笑ましいという意見が大半だが、騒音と感じる人の気持ちも見えてきた。「子どもがうるさい」という一言にはさまざまな思いが詰まっている。

「幼児期の癇癪(かんしゃく)を起こした金切り声が苦手です」

 とコメントするのは横浜市在住の49歳女性会社員。耳に響き、頭痛になることがあるという。ある日、子どもの声をきっかけにひどい頭痛に襲われて思わず顔をしかめたところ、相手に嫌な顔をされたこともあった。

 兵庫県在住のフリーランスの女性(40代)の場合も、自分の体調が悪い時にうるさく感じると答えた。

「基本的にはうるさいとは思いませんが、自分が体調不良などで寝込んでいる時は少しうるさく感じます」

 うるさいと指摘を受けるのは乳幼児期の子ばかりではない。

「体育館の窓を開けっぱなしにして活動をした時によく苦情が入ります」と話すのは都内の公立小学校に勤める男性教員だ。

「コロナ禍もあり、窓を開けないといけないのにクレームが入るというのが現状です。基本、声を小さくするくらいしかできません」

 勤め先の小学校には、近所の公園で遊んでいる子どもの声がうるさいと電話もくる。うるさくしているのが勤務先の児童とは限らない。それでも苦情がくれば対応しないわけにもいかない。

「仕事の負担は増えています。苦情を言われるのは年配の方が多く、社会的に孤立されている印象も受けます」

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