レオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」シリーズのバトンを、カリスマ運用者・藤野英人さんから渡された佐々木靖人さん。多忙の合間を縫って、週に3回は家族のために夕食を作る一面も 
レオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」シリーズのバトンを、カリスマ運用者・藤野英人さんから渡された佐々木靖人さん。多忙の合間を縫って、週に3回は家族のために夕食を作る一面も 

 つみたてNISA(少額投資非課税制度)のアクティブ型投資信託で純資産総額トップの「ひふみプラス」(レオス・キャピタルワークス運用)。この投資信託のファンドマネジャーである佐々木靖人さんにインタビュー。

 2022年4月、佐々木さんはカリスマと呼ばれる藤野英人ファンドマネジャーから、日本株メインの「ひふみ投信」シリーズのバトンを渡された。米国留学で学んだ金融知識とトップ直撃型の就職活動で磨かれたフットワークの軽さが持ち味の敏腕運用者だ。

 佐々木さんは「探索余地が多いのが日本株の魅力」と語りはじめた。

「ひふみ投信」シリーズは高い運用成績で人気を集め、レオスでの直接販売、銀行と証券会社での販売、確定拠出年金用の3つを合わせた純資産総額は6500億円(2022年10月17日現在)を超える。個別銘柄を選別して投資するアクティブ型投資信託では指折りの存在である。

 ひふみシリーズを大きく育てたのは、レオス創業者の藤野英人代表取締役会長兼社長CIO(最高投資責任者)だ。

 藤野さんは以前、本誌のインタビューで、自らの後任について「才能にあふれたキレッキレの人材が社内にいっぱいいます」と述べていた。巨大投資信託「ひふみ投信」シリーズを任された佐々木さんが、まさしくその人である。

 佐々木さんは岡山県倉敷市の生まれだ。

「卒業を控えた高校3年生の1月、母親から突然『どこかに留学しなさい』と言われました。企業経営者だった父は『これからの人間は、英語とドルがわからなければ』が持論。ドルって、為替のことを言ってるんでしょうけど(笑)。父母の言うことを合体すると米国行きってことになりますよね」 

21歳で米国の大学に行ったら
人より牛が多かった…

 佐々木さんは東京にある米国のレイクランド大学日本校を経て、21歳で本校のある米国に渡った。

「着いたら、『うへぇ……』ってなってしまって。現地は人より牛が多いくらいの田舎でした。がっかりして4カ月で退学しました。その後、カリフォルニア州立大学に転入し、金融を学びました。

 金融を選んだ理由? 入学直後に配られた資料に『卒業生の専攻別初任給』が載っていたんですけど、金融が上位にあったからです(笑)」

 佐々木さんの就職活動は正面突破型。

「卒業して最初の職場はブルー・マーリン・パートナーズというコンサルティング会社でした。ロサンゼルスの紀伊國屋書店で買った企業価値評価の本がとてもおもしろくて、著者の山口揚平さんに感想を伝えるメールを送ったんですね。

 そうしたら、山口さんはタイミングよくコンサルティング会社を起業したばかり。入社の誘いをいただき、二つ返事で乗りました」

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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