大リーグ・エンゼルスの大谷翔平が今年も活躍し、MVP候補に挙がっている。オーナーは球団売却を検討しているが、大谷中心のチーム作りに変わりはなさそうだ。AERA 2022年9月19日号の記事を紹介する。

【大谷翔平の今季成績はこちら】

エンゼルスの大谷翔平は9月5日、31、32号と2本塁打。同日現在でア・リーグ本塁打王争いの2位につける。1位はヤンキースのアーロン・ジャッジで54本(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
エンゼルスの大谷翔平は9月5日、31、32号と2本塁打。同日現在でア・リーグ本塁打王争いの2位につける。1位はヤンキースのアーロン・ジャッジで54本(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

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 大リーグ・エンゼルスの大谷翔平(28)が異次元の活躍を続けている。9月5日のタイガース戦に「3番・指名打者(DH)」で先発出場し、三回に31号右越え2点本塁打を放つと、七回にも左中間に32号ソロ。球団最多に並ぶシーズン6度目のマルチ弾に笑みを浮かべた。11日現在、打率2割6分6厘で、34本塁打はチーム1位タイ、88打点はチームトップ。投手でも12勝(8敗)、防御率2.55、188奪三振はチーム内で断トツ1位だ。

■強豪のチームなら15勝

 米国に駐在する通信員は、「評価がさらに上がっている」と指摘する。

「昨年、46本塁打&9勝とセンセーショナルな活躍をしたが、『二刀流』で活躍したのはこの年が初めてだった。大リーグの世界では高いパフォーマンスを毎年見せることに大きな価値がある。大谷は故障で思うような結果を残せない時期があったから今年が重要だったが、投打で申し分ない数字を残している。特に投手としてのクオリティーが上がっている。三振奪取率の高さはトップレベルで制球力も昨年の後半から大幅に良くなっている。打線の援護がなくて白星がつかない登板も少なくない。強豪のチームだったら15勝をマークしている」

 アマチュア球界を含めて投打で有望な選手を二刀流でプレーさせる球団が増えるなど、大谷の活躍が米国の育成システムを変えた。ヤンキースのアーロン・ジャッジ(30)が54本塁打をマークし、ア・リーグ年間本塁打記録の61本超えが注目されているが、史上初のシーズン「30本塁打&2桁勝利」を達成した大谷を「2年連続最優秀選手(MVP)」に推す声は多い。MVPは全米野球記者協会所属の記者による投票で決定するが、ジャッジと接戦になる可能性が高い。

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