※写真はイメージです(GettyImages)
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 インターネットにあふれる美容情報の中には、誤ったものや根拠の薄いものも少なくない。医師に代表的な例を聞いた。AERA 2022年9月12日号の記事から紹介する。

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 久しぶりに会った男友達の一言に、ドキッとした。 

「なんか日焼けしてない?」 

 猛暑日が続いた今年の夏。いつもより念入りに日焼け止めを塗り、UVカットのカーディガンや日傘だって持ち歩いた。日が出ているときは外を極力歩かないようにもしたのに──。 

「絶対に焼かないぞと思っていたので、ショックでした」 

 メーカー勤務の女性(29)はそう振り返る。ただ、思い当たることがあるという。 

「丸一日外出していて日焼け止めを塗り直せない日があったんです。でもサプリを飲んでるし、と油断していました」 

 女性が飲んだサプリとは、いわゆる「飲む日焼け止め」のこと。抗酸化成分によって紫外線ダメージが軽減できるとうたわれているものが多い。「日焼け止めを塗れないときに」「24時間効果が続く」と紹介されているものもあり、ズボラ心がくすぐられる。ところが、 

「飲む日焼け止めで日焼けが防げるというのは嘘です」 

 と指摘するのは、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』などの著書がある、近畿大学医学部教授の大塚篤司医師だ。 

「飲むだけで日焼けの防止や体の保湿につながる薬はまだ開発されていません。ただ、紫外線はシミやしわなどの老化につながるだけでなく、皮膚がんの原因にもなります。全人類浴びないほうがいいのは間違いない。対策としては、顔だけでなく、手や腕などの露出している部分にも日焼け止めを塗ることが大切です」(大塚医師) 

首イボには効果なし 

 米食品医薬品局(FDA)も2018年に「日焼け止めの代わりになるような錠剤やカプセルは存在しない」と警告を出すなど、現時点でははっきりとした根拠がない飲む日焼け止め。冒頭の女性がその存在を知ったのは、美容系インフルエンサーのインスタグラムがきっかけだった。クリニックもプロデュースするモデルがおすすめしていたこともあり、効果がありそうだと期待したという。 

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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