安倍晋三元首相が撃たれた現場で、手を合わせる人たち/7月10日、奈良市
安倍晋三元首相が撃たれた現場で、手を合わせる人たち/7月10日、奈良市

 安倍晋三元首相が凶弾に倒れた事件は、その直後から海外でもトップニュースとして報じられた。各国首脳・元首脳からも追悼の意が数多く寄せられているが、一般の人たちは、「安全な国」と言われた日本で起きたこの事件をどうとらえているのだろうか。遠く離れたヨーロッパのデンマーク、最も身近な海外旅行先の一つとして日本とも関係が深い米領グアム、そして当の安倍元首相が提唱した「日米豪印戦略対話(Quad)」で関係を深めているオーストラリアから、現地の人たちの声を集めた。

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「安全な国」日本で起きたことに衝撃
(デンマーク)

 日本の皇室とデンマーク王室との間に深いつながりがあるとはいえ、政治的・経済的にはお互いにとってそれほど関係が深いとは言えないデンマークだが、人々は今回の事件に衝撃を受けたようだ。

「残念な事件が起きてショックを受けています。いろいろな国に行きましたが、このような事件が起こってもなお日本は世界でもっとも安全な貴重な国だと思います。思い描いた人生を歩むことができなかった人が事件を起こすことはどんな国でも起こり得ることです」

 と話すのは、映画監督のカスパー・アストロップ・シュレーダーさん(40代・男性) 。他にも、この事件を受けてもなお、「日本は安全」というイメージに変わりがないという声が相次いだ。

「この事件が起こっても、日本はデンマークよりも安全な数少ない国の一つだと思っています。反社会的な人間はどこの国にもいますし、すべてを回避することはとても困難なことです。しかし安倍元総理の命が代償となってしまったことは、とても悲しいことです」(ニクラス・ブレンボーさん・分子生物学者・20代半ば・男性)

「今でも日本は素晴らしい人に溢れた世界で一番安全な国の一つであると思います。このような最悪の事件が起こってしまって非常に残念です。心よりお悔やみ申し上げます」(スティーネ・カリーナ・ラウドさん・デザイン関連・40代・女性)

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「安全への慢心」を疑う声