片づけようとするも挫折していた自分の部屋/ビフォー
片づけようとするも挫折していた自分の部屋/ビフォー

 5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。

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case.24  家事も仕事もルーティン化が勢いを作る

父と2人暮らし/医療関係 

「自分の人生を置いてきた気がしていました。親の責任にして変わろうとしない自分がいるのもわかっていて」

 片づけ前の消化しきれなかった思いを語る、父と2人暮らしの女性は、母の介護を20代前半で経験。長女として使命感のようなものに動かされ、弟や妹は頼らず一人抱え込んだ。結婚を考えた時期もあったけど、心に余裕がなく自分はあと回し。家族の中心だった母が他界すると心に不調をきたした時期もあった。

 間もなく父が病気になり介護がはじまった。公的サポートを頼りながら仕事の毎日。難しい父とはぶつかることも多かったけど、高齢に加え難病を抱え、身の回りのことが億劫(おっくう)そうな父を見捨てることはできない。

 そしてコロナ禍。医療従事者として精神的な負担も大きく、父と口喧嘩が増えた。職場にイライラを持ち込み、ギクシャクした。折り合いの悪い年上の部下との関係は「あの2人大丈夫?」と周囲に心配されるほど。

「仕事の閉塞感は前からありました。職場が嫌なのか、業界が向いていないのか。転職という道もあるのに踏ん切りがつかなくて。安定した状況を離れたくないのか、どうしたいのか」

 いろいろと見失っていたとき、強みになればと取ったいくつかの資格に加え、次の勉強に手をつけていた。目下の問題は、介護生活と仕事の混乱を映すかのような散らかった部屋。家を飛び出しカフェで本を開いてみても集中できない。やっぱり家で勉強したかった。

 片づけたいのはそれだけじゃなかった。

「同世代で親を亡くす子が増えてきたんですが、すぐに切り替えられる人と自分の違いはなんなんだろうと思って」

 環境を整えて問題をクリアにしたい……。そのような折、家庭力アッププロジェクトに参加しました。

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西崎彩智

西崎彩智

西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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