発熱から陽性判定までたった1時間半(イラスト/サヲリブラウン)
発熱から陽性判定までたった1時間半(イラスト/サヲリブラウン)

 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。

【イラスト】ジェーン・スーさん

*  *  *

 今年はどんなゴールデンウィークを過ごされましたか? 私は新型コロナウイルスに罹患し、ずーっと家に引きこもっておりました。

 3回目のワクチンを接種して、12日後の感染。身に覚えはありませんし、身近に感染者もいない。出先でクラスターが発生した話も聞きません。十分に注意して生活していたつもりでしたが、過去にないほど私の周りにも罹患者が増えていたし、いつかはくるだろうと思っていたこと。仕方ないと腹を括りました。

 感染が判明したのは、水曜日の夕方。仕事場でいつものように原稿を書いていると、なんだか暑い。いや、「暑い」はさすがにおかしいと思い熱を測ると、37.2度でした。

 前々日にはくしゃみが止まらず、喉も少しイガイガしていたっけ。翌日にはすっかり治っていたので、あれはなんらかのアレルギーだなと思っていたけれど、熱があるならアレルギーではなさそう。

 仕事仲間から、37.2度の熱で念のためPCR検査を受けたところ、まさかの陽性だったという話を数カ月前に聞いたばかり。ならばと、私は目の前にあった抗原検査キットの袋を開け、パパッと検査。もちろん、厚生労働省が推奨しているキットです。

 結果、陽性。こりゃまずい。私はすぐに、東京都の発熱相談センターに電話を掛けました。指示の通り、発熱していてもPCR検査をしてくれる近くの病院に電話し、即赴く。15分で結果が出るPCR検査を経て、正式に陽性者と認定。

 なんと、仕事場で熱を測ってからPCR検査で陽性判定が出るまで、たったの1時間半。我ながら手際の良さに惚れ惚れ。これもひとえに、身近な元罹患者から話を聞いていたからこそ。おススメは、いまのうちにウェブサイトで仕事場と家のそばの発熱外来をチェックしておくことです。ここで躓(つまず)くと面倒なので。

(イラスト/サヲリブラウン)
(イラスト/サヲリブラウン)

 幸い、自宅にはある程度の備蓄があり、東京都から食料も届き、友人がドアノブに美味しいものを掛けてくれたり、ネットスーパーを使ったりで快適な毎日でした。もしかしたら、こんなにしっかり休めたのは数年ぶりかも。皮肉にも、真のゴールデンウィークとなりました。ひたすらに惰眠をむさぼったおかげで、なんだか以前より元気かも?

 仕事仲間には迷惑を掛けてしまいましたが、「お互い様だよ」と優しい声ばかり掛けられて、柄にもなくウルッときました。

AERA 2022年5月23日号

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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