元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】ガス代上昇も無縁の稲垣えみ子さんが愛用しているもの

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 ウクライナの戦争で電気代が上がることが問題になっている。資源大国であるロシアへの経済制裁で、世界的な資源の取り合いになり価格上昇必至なためだ。

 ところで超節電家である私的には、このニュースは「だから?」となる。我が家の電気代も既に上がっているが、ずっと月200円を切っていたのがアラ2カ月連続200円超え! と衝撃を受けたという、冷静に考えればまあどーでもいい話だ。

 無論、世の中はそんな能天気な話では到底済まされず、今こそ原発動かせという人もワラワラ出てきた。その是非はともかく、私が思うに、あれほどの惨状をもたらした原発に頼った社会など誰も心底望んではいないはずで、ただ「背に腹は代えられない」ってことなのだろう。我々も日々生きていかなきゃならん、そのためには目をつぶらなきゃいけないこともあると。

 でも、もはや「ほぼ電気を使わず暮らす」ことが当たり前になった身からすると、こういう論争自体が非常にフシギなものに見える。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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