illustration 小迎裕美子
illustration 小迎裕美子

 夫婦にとって「永遠の課題」ともいえる家事分担問題。コロナ禍での生活も丸2年が過ぎ、在宅時間が増え、衝突したり歩み寄ったり。互いに納得できる「最適解」はどこにある?AERA2022年4月18日号の記事を紹介する。

【「家事分担問題」イラストの続きはこちら】

*  *  *

 東京都目黒区に住む外国語講師の女性(50)の夫(49)は大手製薬会社勤務。「とりあえず3カ月間」ということで完全在宅勤務となったのは2020年4月のことだ。

 女性は当初、「夫も一日中家に!?」と動揺したが、一戸建て自宅の3階に女性、1階に夫と別々に日中過ごすことで3カ月間を乗り切った……と思ったら、「9月まで」「今年いっぱいは」とどんどん延長し、夫が完全在宅勤務のまま現在に至る。

 コロナ前の生活は、こうだ。夫の出勤を見送り、家事を済ませた後、朝9時から午後3時まではデイトレード。昼食は取らないか、取っても前日の残りで簡単に。

 3時以降は、外国語の授業が入っている時は指定の場所に赴く。交友関係が広く食事の約束が入ることも多い。そういうときは夫の夕食を作ってから出かける。コロナになってからは、授業は主にオンラインになり、友人との食事も減ったが、基本的な一日の過ごし方は変わらないはずだったのに……。昼食作りという新たな家事が加わった。女性はこう嘆く。

「社員食堂で定食を食べるのが常だった夫は前日の残り物はNG。『お昼、できたよー』と呼ばれ、熱々をサーブしてもらうのが、当たり前なんです」

 半年経った頃に「在宅勤務は一過性ではない」と覚悟。そこで、夫に「デイトレードが中断されるのは困る」「社食代が浮いた分、何らかの負担を」「通勤時間がなくなったのだから家事でできることがあるはず」と訴えかけた。粘り強い交渉の末、「昼食作りは週2.5回」「食洗機購入」「買い物は夫担当」という“権利”を勝ち取った。

「週2.5回というのはファジーだし、本音では0回にしてほしい。でも、これがお互い納得いくライン」(女性)

次のページ