※写真はイメージ(gettyimages)
※写真はイメージ(gettyimages)

 ビジネスシーンで避けては通れないコュニケーション。中でも営業は顧客との会話を通じて、信頼を築くことが求められるが、うまく話したつもりでも結果に結びつかないこともある。そんな人はどうすれば成果が上がるのか。AERA 2022年4月11日号の記事から。

【図】NGワードはこう言い換えよう!

*  *  *

 話す際、伝える相手のことを考えることも極めて重要だ。『またすぐに!会いたくなる人の話し方』などの著書があり、話し方教室「TALK&トークコミュニケーションセミナー」を主宰する野口敏さんは言う。

「自分の話を一方的に伝えるだけでは、信頼関係は築けません。仕事でもプライベートでも、また会いたいと相手に思わせるポイントは、『相手が主人公の話し方』をすることです」

「相手」主体に考えて話すスキルを身につければ、成果が見違えることもある。

 大阪の不動産開発会社で働いていた20代の男性は、不動産を仕入れ、マンションなどを建てて販売するのが仕事だった。よい物件が出たら連絡をもらえるよう、取引先とは普段から関係を築くのが不可欠だ。だから、営業先では常に「弊社の社長はこういう人物で」「弊社が手がけた物件はこちらで」と勢い込んで説明した。だが、それが済むと話が尽きる。結果、入社1年目の売り上げはゼロ。

 野口さんは彼の性格も考え、「ご苦労もたくさんされたのでしょう」「営業のいろはを教えてください」などと問いかける「相手が主人公の話し方」の徹底を指導した。帰社後も「社長のお話は初めてお聞きする内容ばかりでした」「またお話の続きをぜひ、お聞かせください」といったメールを送るように指示。すると取引先から「次はいつ来る?」「近くに来たら寄りなさい」という親しみある返信をもらえるようになった。半年後には、ある取引先から超掘り出し物の不動産を紹介され、社に7千万円もの利益を出した。男性はその後も営業成績を伸ばし、現在は独立して不動産開発会社を立ち上げている。

次のページ